措置命令の余波、撤回申出80件に 「科学的根拠ある」の主張、8件に減る
消費者庁、食表法に基づく確認結果第2弾を公表
措置命令の対象となった機能性表示食品と同一の機能性関与成分であるとともに、科学的根拠も同一である機能性表示食品88件について、科学的根拠に疑義があるなどとして食品表示法に基づく対応を先月初旬以来進めている消費者庁は17日、うち8件の届出者が「科学的根拠がある」と主張していることを明かし、届出者名などの情報を一覧にして公表した。
一方で、それ以外の80件の届出者は撤回を申し出ており、そのうち34件については、すでに撤回届が提出されたという。今後、こうした情報を随時更新していく方針を示している。
届出表示から逸脱した広告表示に加え、届出表示の科学的根拠が不十分であったことが景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、同庁が6月末、通販会社のさくらフォレスト㈱(福岡市中央区)に措置命令を行った事案。これを受けて同庁は先月3日以来、措置命令対象商品と機能性関与成分や科学的根拠が同一の届出88件の届出者に対して、科学的根拠に疑義がある旨を指摘し、疑義に対する合理的な回答があるかどうかの確認を進めていた。
届出を取り下げる旨の申し出件数が大幅に増え、逆に、科学的根拠がある旨を主張する先が著しく減った。同庁は先月27日、確認結果の第1弾を公表し、88件全ての届出者から回答があったこと、そのうち15件について撤回の申出があったこと、他の73件については科学的根拠がある等の主張を行っていること──を明らかにしていた。
それが一転、撤回を申し出る動きが短期間のうちに急増した背景には、科学的根拠をめぐる同庁との対立を避け、届出をいったん取り下げて仕切り直す(エビデンスを補強して新規届出を行うなどする)方向に舵を切る判断が急速に広がったことがあると考えられる。
撤回届提出までリスト公開続ける方針
一方、88件のうち8件の届出者は、引き続き科学的根拠がある旨を主張する。同庁が17日公開した「科学的根拠があると主張している届出一覧」によると、16日時点でDHA・EPAに関しては三生医薬㈱(静岡県富士市)がその旨を主張しているほか、モノグルコシルヘスペリジンについては明治製薬㈱(富山県滑川市)と興和㈱(名古屋市中区)の2社、オリーブ由来ヒドロキシチロソールについては東洋カプセル㈱(静岡県富士宮市)、㈱ヘルシープラス(千葉県鴨川市)、四季乃舎㈱(福岡市中央区)、新日本ウェルネス㈱(福岡県飯塚市)の4社が科学的根拠があると主張している。
これら8件に対する今後の対応について、同庁の新井ゆたか長官は17日に行った会見で、「引き続き、(食品表示法や景品表示法などの)関係法令に基づいて適切に対処していく」などと述べた。
他方で、撤回の申出があった80件のうち、撤回届出が現時点で提出されていない46件について同庁は、一覧化した上での公表を続ける。この理由について新井長官は、「撤回の届出が行われるまで販売されることがあり得る」と述べ、撤回届が提出されるまで、あくまでも消費者への情報提供を続ける考えを示した。
【石川太郎】
(冒頭の画像:消費者庁が17日、ホームページ上で公開した確認結果概要)
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