広告めぐる苦情、23年度上半期まとめ JARO調べ、減少傾向続く
(公社)日本広告審査機構(JARO)が20日発表した2023年度上半期の審査状況によると、苦情件数は4,437件となり、前の年度の同じ期と比べて1割弱減少した。広告に対する苦情の減少が続いており、新型コロナウイルス感染拡大などの影響もあって件数が増加した20年度以前の19年度と同じ水準になった。
最多は医薬部外品、健康食品は上から5番目だが
苦情を業種別に見ると、最多は253件の医薬部外品。発毛効果やシミが取れるかのような誇大な表現に苦情が寄せられたという。前年同期比で約1割減少したものの、22年度上半期からの最多が継続した。
健康食品(保健機能食品除く)は、145件で上から5番目。ただ、保健機能食品でも100件未満の苦情が寄せられており、合わせると最多に迫る。化粧品は161件で上から3番目だが、前年度と同じ期の260件から大幅に減少した。
保健機能食品を除く健康食品の広告に対する苦情は、20年度上半期の約600件をピークに減少傾向が続いており、ピーク時の3分の1以下まで減少した。一方で、機能性表示食品をはじめとする保健機能食品は22年度上半期に苦情が増加。同年度下半期は100件台に達していた。化粧品は、件数が急増した20年下半期をピークに苦情が減り続けている。
媒体別ではネットとテレビが不動
苦情が多かった媒体は、インターネットが1,967件でトップ。次いでテレビが1,920件で続いた。それぞれ前年度の同じ時期との比較で1割弱減少したが、上位2媒体は21年度下半期から変動していない。インターネットの苦情上位は医薬部外品189件(前年度同期191件、化粧品126件(同207件)、電子書籍・ビデオ・音楽配信108件(134件)の順で、化粧品が大きく減少した。他方で、保健機能食品を除く健康食品は57件から91件、医院・病院は32件から65件に増加したという。
また、インターネットの苦情の内訳は、自社サイト(460件)、通販サイト(416件)、SNSなどのインフィード(414件)などが上位に入った。アフィリエイトは147件で、前年同期と同数だった。
JAROが「厳重警告」10件
JAROの業務委員会が手がける審査活動で23年度上半期に発信した見解は17件だったという。そのうち9件が不適切な「No.1表示」、8件がアフィリエイトサイトに関するものだった。
また、見解17件のうち、不当性が特に高いと認められるものに発する「厳重警告」は10件。アフィリエイトサイトなどで「3週間で脂肪が激減」などと「逸脱した表示」(JARO)を行っていた機能性表示食品も含まれるという。
(文中の画像:JARO「2023年度上半期の審査状況とトピックス」より)