年頭所感~安全性と品質の確保に向けて一歩前進
(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS) 理事長 池田 秀子 氏
新年あけましておめでとうございます。食品衛生法大改正に基づく施策の運用が開始される本年は、業界にも年頭から少し緊張感が漂っているようにも感じられます。特に食品衛生上の危害を防止する観点から特別の注意を要する成分または物(以下、指定成分)の指定は、私どもの業界に最も大きな影響を与えると考えられます。
これまでは最終製剤の安全性や品質に重点が置かれてきましたが、この問題は、安全性に関わる根源に遡ること、すなわち、原材料の安全性と品質確保に正面から取り組むことを余儀なくするものです。従って、最終製品の製造のためのGMPだけでなく、これからは原材料GMPがより重みを増すことになると思われます。
JIHFSは2005年の設立以来、最終製品だけでなく原材料についてもGMP認証の対象とすべきとの方針を立てて、原材料GMP規範を公表し、認証してまいりました。以来、15年を経て、その歩みはゆっくりではありましたが、我が国においては、まだ十分ではないにしても、健康食品GMPの基礎は築かれたと言ってよいと考えています。
このこと自体は、海外にも誇れるものと思いますし、食品衛生法大改正の施策の1つとして、指定成分を対象に告示されようとしているGMPは、やがては原材料GMPを含む健康食品全体のGMPの指針として受け入れられるに違いなく、そう遠くない日に、業界はそれを十分にカバーしていくと信じております。
しかし、健康食品原材料を考える場合に忘れてならないのは、輸入原材料の品質と安全性をどのようにして担保するかという問題です。JIHFSは既に15年に「輸入原材料GMP規範」を完成させていますが、輸入原材料に関しては、国内で製造されるGMPとは異なる問題意識、解決策を要求されます。
そして、原材料輸入販売者はその責任と責任を履行するための知識と運用体制を求められますが、これについては、かなり課題が大きいように感じております。
本年はそうした課題とも向き合い、全ての健康食品の基本要件である安全性と品質の確保のために、JIHFSとしても歩みを一歩進めたいと思っております。