巡る検討会最終回、きょう午後5時から 急ピッチで進んだ議論、制度見直しの方向性に注目
機能性表示食品制度の見直しの方向性を定める消費者庁の有識者検討会の最終回(第6回)がきょう23日午後5時から7時まで行われる。関係団体などへのヒアリングを行いながら議論してきた結果を踏まえ、制度見直しの方向性を提示する。それを受け、今月末までに、同庁が制度見直し案を取りまとめる。最後の検討会の模様もYouTube上でライブ配信される。
小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売していた機能性表示食品のサプリメントに生じた健康被害問題を受けて立ち上がった「機能性表示食品巡る検討会」は急ピッチで進んだ。初会合は先月19日。以降、ゴールデンウィークを挟みながらも4回の会合を重ね、きょうの最終回を迎える。議事録の作成、公表も急ピッチ。消費者庁は、22日までに、今月10日開催の第4回までの議事録を公表した。
この検討会には、機能性表示食品制度の今後のあり方をめぐって大きく3つの検討事項があった。第1に、「健康被害情報の収集、国への報告」、第2に、「生産管理及び品質管理/機能性関与成分」、第3に「消費者等への情報伝達のあり方」。消費者庁は、各検討事項に対する検討会構成員らの意見を整理、集約し、毎回の会合で配布する議事概要に設けた「主な意見の概要のイメージ(調整中)」で伝えていった。
第5回会合で配布された議事概要を見ると、例えば「生産管理及び品質管理」に関する「主な意見」は次のように集約、整理されている。
「今回の事案を受け機能性表示食品の信頼性を高めるため、サプリメントである機能性表示食品について、届出者の準備期間を設けた上で、GMPに基づく製造及び品質管理の義務化を求める必要がある。
GMPの内容はGMP通知を参考とし、輸入品を含めて原材料については、機能性表示食品を製造する者がGMPにおける原料の受け入れにおいて成分全体の同等性、同質性の考えを基本として対応することが適当である」
ここで言う「GMP通知」とは、今年3月に厚生労働省が発出した「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」のことだ。
また、「その他、以下の検討を行う必要がある」として、①届出者による自己点検等に資する、製造及び品質管理に関する重要事項について分かりやすいチェックポイントなどの整備、②事業者が自主点検し、表示当局が食品表示法に基づく検査を行う仕組みの導入、③中小企業等による自己点検等を後押しする届出者による自主的な取組の促進──3つを挙げている。
検討会が提示する方向性は、機能性表示食品に関わる事業者が今後進める事業の方向性にも影響を与える。ある最終製品販売企業の商品開発責任者は話す。「(検討会が示す)方向性を見て、機能性表示食品を今後も続けるかどうかを見極めたい」
【石川 太郎】
関連資料:機能性表示食品巡る検討会議事概要(第5回配布資料から。消費者庁ホームページへ)
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