定期購入トラブルが前年の2.3倍に激増~国セン、3度目の注意喚起
<4~11月で約3万件の消費者相談>
(独)国民生活センターは19日、今年度に入り、健康食品・化粧品などの定期購入トラブルに関する消費者相談件数が、前年同期の2.3倍に激増していると発表した。
今年4~11月までの期間、PIO-NETに寄せられた定期購入トラブルに関する相談は2万9,177件。8カ月間で、既に前年度の2万3,002件を大きく上回っている。
定期購入トラブルは、「お試し」と思って注文したが、実際には定期購入が条件だったというもの。2016年頃から急増し、国センは16年6月と17年11月の2度にわたって注意喚起を実施。消費者庁では特定商取引法を改正し、対応策を講じた。しかし、その後も相談件数は増加。特に今年度に入って激増している。
国センによると、最近では、SNS上の広告や動画投稿サイトを発端とするトラブルが増加傾向にある。まず、SNS上の広告や動画投稿サイトで、商品の効能効果と「お試し」の低価格を強調。消費者を販売サイトへ誘導し、定期購入が条件であることを認識しにくい画面から注文させる。その際、申し込みの最終確認画面には初回分の数量・金額のみを大きく表示し、契約条件は目立たないように記載するという手口だ。
商品到着後に定期購入であると知った消費者が解約を求めても、「あと〇回購入しないと解約できない」と断られるケースが多いという。いつでも解約できる旨を表示しているのにも関わらず、「事業者に何度電話をしても通話中でつながらない」といった相談も目立つ。また、「〇日間解約保証」と表示しながら、解約を申し出ると「解約するならば、1カ月分の商品代金を通常価格で支払う必要がある」と言われるケースも増えている。
国センでは、相談件数が激増している要因について、多数の事業者が同様の手口を用いている状況を指摘。「ある事業者に関する相談が落ち着いても、そのほかの事業者によるトラブルが増え、積み重なっている」(相談情報部)と説明する。
これまでに寄せられた相談の対象事業者は、100社を超える。「監視により、目立つ事業者に連絡を取って改善を求めている。一定の効果が見られるが、部分的な改善にとどまることもある」(同)と話している。
国センは消費者に向けて、契約内容や解約条件を十分に確認するように呼びかけた。行政へも要望を出した。消費者庁に対し、事業者に特定商取引法と景品表示法の順守を周知することと、違反行為に対しては適切な執行を求めている。
(写真:19日に行われた国民生活センターの発表)