国民生活センターの崩壊試験に業界団体が意見
<JHNFAと健康食品産業協議会、対応姿勢に大きな隔たり>
(独)国民生活センターは13日、市販用サプリメント商品の4割以上で崩壊性に問題があることを明らかにした商品テストの結果に対し、健康食品業界団体から寄せられた意見を公表した。
(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)は、商品テスト結果を受けて、GMP認定工場に対して錠剤・カプセル状等食品の崩壊試験を義務化する方針を説明。以前からGMP認定工場に対し、錠剤・カプセル状等の製品について崩壊試験の実施を強く推奨してきたが、「国民生活センターの報告書の内容を重く受け止め、義務化することとし、その旨を8月2日付で通知した」としている。
一方、(一社)健康食品産業協議会は「健康食品等は食品」、「崩壊試験は食品に義務付けられた基準はありません」と強調し、商品テスト結果に不満を並べた。しかし、具体的な今後の改善策については言及しなかった。
国民生活センターはサプリメントの品質の実態を把握するため、市販の100製品を対象に商品テストを実施。サプリメントの試験に関する基準がないことから、日本薬局方の試験方法を用いて、規定時間内に崩壊するかどうかを調べた。調査の結果、42製品では時間内に崩壊しなかった。そのなかには、健康食品GMP認定工場で製造されたものもあると説明している。
<崩壊性の問題は消費者利益に直結>
【解説】
商品テストの結果を重く受け止め、崩壊試験の義務化を早々に打ち出したJHNFAと、ただ不満だけをぶつける健康食品産業協議会。国民生活センターに寄せられた2団体の意見を見る限り、両者の間で対応姿勢が大きく分かれているようだ。
崩壊性に問題があれば、期待される効果が十分に発揮されないことにつながり、消費者利益を損なう恐れがある。消費者利益を守るという観点からも、2団体の姿勢には大きな隔たりがある。
健康食品産業協議会は医薬品の基準でテストしたことに不満を示しているが、見方を変えれば、約6割の商品では医薬品の基準をクリアしていたことになる。商品テストの結果は、厳しい品質管理を行っている企業がある一方で、そうでない企業があることを示している。業界として今後、厳しい品質管理へ向かうか、それとも甘い品質管理のままでいくか。消費者の目線に立てば、進むべき方向性は明確だろう。
健康食品産業協議会は意見のなかで、「消費者に医薬品として誤認を生じさせる可能性がある」と主張している。そのように懸念するならば、例えば、サプリメント形状の機能性表示食品の機能性文言には医薬品の効能効果の表現に近いものも少なくないが、これに対し、なぜ反対しないのだろうか。都合に合わせて、消費者が医薬品と誤認すると主張しても、説得力に欠けてしまう。