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各党の食・農政策が明らかに 日本消費者連盟の質問状に対する回答を分析

 日本消費者連盟は27日、来る参議院議員選挙を控える各政党に対して6月5日付で送付した公開質問状に対する回答を公表した。質問は全部で17項目だが、その中でも食品に関するQ&Aについて紹介する。

ゲノム編集食品の表示義務化をめぐって

 日本消費者連盟が行った質問状に対し、ゲノム編集食品への表示義務については、共産、国民民主、社民、れいわ、参政の5党が「表示義務化すべき」と明確に回答した。これらの政党は「知る権利」「選ぶ権利」を重視し、リスクへの予防的対応を訴えている。

 一方、自民、公明、立憲、維新は義務化に慎重な姿勢を示しつつも、消費者への情報提供の重要性は共有している。特に公明党は、事業者による積極的な情報提供の必要性と制度周知の重要性を強調した。維新は「表示の信頼性と事業者負担のバランスが必要」として制度設計の見直しを訴えている。

小麦粉表示に潜む「誤認」の危うさ

 原料原産地表示については、「小麦粉(国内製造)」との表記が消費者に誤認を与えているとして、共産、社民、れいわ、参政の各党が「製造地表示を廃止し、生鮮原料に遡った表示にすべき」と主張した。

 これに対し、自民、公明、立憲、維新、国民民主はいずれも「その他」として、現行制度を維持しつつ、表示の分かりやすさの向上や制度の見直しを進める方針を示した。特に公明党は、生鮮原料の原産国表示を可能とする現行制度の柔軟性を説明しつつ、制度の効果検証と必要な見直しを強調した。

農薬規制は分かれる見解

 農薬規制のあり方については、共産、社民、れいわ、参政の4党が「予防原則に従って規制を強化すべき」と明言。とくに共産党は、現行の農薬再評価制度の透明性や独立性に疑義を呈し、より厳格な制度運用を求めた。

 一方、自民、公明、立憲、維新、国民民主は、いずれも現行制度の運用改善や科学的知見に基づく対応を掲げた。公明党は再評価制度の強化を肯定しつつ、国際基準やリスクの変化に対応する柔軟性を主張している。

食の安全保障と貿易交渉の狭間で

 米国との通商交渉に関連し、農産物の輸入拡大や検疫緩和については、立憲、公明、共産、社民、れいわ、参政の各党が「反対」を明確に示した。とくに共産党は、トランプ政権の一方的措置に強く反発し、「輸入拡大を交渉のカードとすることは言語道断」と断じた。

 自民党は「一定の譲歩もやむを得ないがコメは輸入すべきでない」とする慎重な立場をとり、維新は「一定の譲歩も容認」とした上で、国内農業への影響を抑える必要性を訴えた。国民民主は「その他」として交渉の透明性を求め、与野党を超えた対応を主張している。

有機給食の推進と無償化

 学校給食の無償化と有機食材の導入については、共産、国民民主、社民、れいわ、参政が「国の負担で無償化すべき」と回答。特に共産党は、みどりの食料システム戦略推進交付金の規模を「不十分」と批判し、国による直接支援と制度設計の強化を訴えた。

 自民、公明、立憲、維新は「その他」として、有機給食推進には前向きな姿勢を示しつつ、国・自治体の役割分担や検討の必要性を主張している。

農家の所得補償をめぐる政策論に温度差 

 農業の担い手不足や耕作放棄地の拡大が深刻化する中で、農業者の収入を安定させる手段として欧米型の「所得補償(直接支払い)」を導入すべきか否かが、参議院選挙を前に各政党の政策姿勢を問う重要な論点となっている。
 この問題について、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組、参政党の6党は、いずれも「農家が安定的な生産ができるよう『所得補償政策』を導入すべきである」と明言した。

 共産党は、「価格保障と所得補償が必要」とし、農業の持続と農村の暮らしの保障を政治の責任と位置づけている。立憲民主党もまた「食料確保・農地維持支払(食農支払)」の新設を掲げ、かつての戸別所得補償制度を基盤とする方向性を示した。
 国民民主党は独自の支払い額を示し、「営農継続可能な所得向上」を図る制度の再構築を提案。社民党は制度の「復活・法制化・恒久化」を訴え、れいわ新選組は「農業は国の命綱」と強調し、中山間地の小規模農家まで視野に入れた支援制度の必要性を強調した。参政党も「農家の準公務員化」までを視野に入れた積極的な制度設計を提示した。
 与党は「現行制度の強化」や「構造改革」との両立を重視
一方、自民党、公明党、日本維新の会は、いずれも「その他」として、所得補償そのものには慎重な立場を示した。

 自民党は「一律に補填する形ではなく、農業の収益性や構造改革と一体化した支援が重要」と述べ、制度の合理性と持続可能性を重視した姿勢を取っている。
 公明党は、セーフティネットの強化や地域・営農形態に応じた支援の必要性を主張。水田政策の見直しに向けて与野党を超えた議論を提唱しており、現行の「日本型直接支払い」や収入保険の拡充が現実的方策であるとする。
 維新も「中山間地を含む農家の経営安定」を支援するとしながらも、自然災害や価格変動への対応強化といったリスクマネジメント的観点からの支援を軸に据えている。

【谷山 勝利】

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