原発事故をめぐる風評被害調査公表 産地を気にする消費者の割合、減少傾向に
消費者庁は10日、「食品と放射能に関する消費者理解増進チーム」における16回目の調査結果について報告を行った。1月20日~27日にかけてインターネットを通じて調査した。対象者は被災地域(岩手県、宮城県、福島県、茨城県)および被災県産農林水産物の主要仕向先県など(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県)に居住する20~60代の男女5,176人。
同庁は、2011に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、13年から同チームを発足して調査を行ってきた。
リスクコミュニケ―ションに関する説明、風評対策や消費者理解の増進に役立てることを目的とし、被災県の農林水産物について、消費者が買い控え行動をとっている場合の理由を継続的に調査してきた。
今回の調査では、放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」と回答した人の割合は、第1回調査結果(13年)の19.4%から5.8%に、また、「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合は14.9%から3.8%にそれぞれ減少した。
一定の放射性物質のリスクを受け入れられると回答した人の割合も過去最高の59%を示した(前回58.5%、前々回50%)。
他方、食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らないと回答した人の割合も63%と、今回が最も高かった(前回59.4%、13年22.4%)
また、「風評被害を防止し、売られている食品を安心して食べるために、どのようなことが行われるとよいと思うか」との問いに対し、「それぞれの食品の安全に関する情報提供(検査結果など)」、「食品に含まれる放射性物質に関する科学的な説明」、「それぞれの食品の産地や産品の魅力に関する情報提供」が上位を占めた。
政府は1月、福島第一原発における処理水の年内放出を発表し、放出をめぐる風評が問題になっている。食品添加物同様、いたずらに危険をあおる論調に同調せず、科学的評価に基づいた冷静な判断が求められる。
【田代 宏】
消費者庁ホームページより「公表資料」