健康づくりや予防を強化、骨太の方針 食品の輸出拡大も盛り込む
政府が16日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」。社会保障分野の強化・推進策では、「健康づくり・予防・重症化予防の強化」も盛り込んだ。「健康寿命を延伸し、高齢者の労働参加を拡大」する狙い。超高齢社会でも持続可能な社会保障制度を構築する必要があるとうたった。
健康寿命を延伸するために、デジタル技術を利活用した「ヘルスケアイノベーションの推進」や「スタートアップへの伴走支援などの環境整備」に取り組むほか、難聴はじめ慢性腎臓病、アレルギー疾患、メンタルヘルス、栄養などの対策を「着実に進行する」。
また、栄養管理と口腔管理の連携・強化も図る。口腔の健康(オーラルケア)では、骨太の方針2022に引き続き、全身の健康と口腔の健康に関するエビデンスの集積・活用と国民への適切な情報発信、国民皆歯科検診に向けた取組の推進、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防につながる口腔健康管理の充実──などを掲げた。
このほか、積み残しとなっている、大麻をめぐる制度を見直して「大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備」を進める方針を改めて掲げた。
骨太の方針2023では他に、国民生活の安心・安全に関連し、花粉症を「社会問題」に位置付け、その解決に向けて取り組む方針を示した。先月末に閣議決定した「花粉症対策の全体像」に基づき、約30年後の花粉発生量の「半減」を目指す。そのために、発生源対策や発症・暴露対策などに「政府一体」となって取り組む、という。
食品に関しては、農林水産物を含めて輸出の拡大を図る。「稼ぎを重視」しつつ、25年の輸出額2兆円目標の「前倒し」を目指す。また、食品表示基準について、国際基準への整合化を「推進する」方針も掲げた。国際基準のCODEX規格に合わせていくことで、食品の輸出拡大などにつなげる狙い。
政府の食料安定供給・農林水産業基盤強化本部が今月2日決定した「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」では、「海外市場も視野に入れた産業に転換」する方針を盛り込んでいた。食料安全保障体制を確立する狙い。「農林水産省によると、日本の農林水産物・食品の輸出額は21年に1兆2,385億円と1兆円を初めて突破した。
女性の活躍も掲げた。「フェムテックの利活用やナショナルセンター機能の構築を含めた女性の健康支援」などに取り組む。政府の「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部」は13日、「女性版骨太の方針2023」を決定した。それに基づき、「女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会」の実現を目指す。
【石川太郎】