サワイGHD、健康食品事業参入を決定 機能性表示食品のサプリ、今年度中に本格販売開始
ジェネリック医薬品の製造販売で国内最大手の沢井製薬㈱(大阪市淀川区、澤井健造社長)を傘下に持つサワイグループホールディングス㈱(同、末吉一彦社長)が健康食品事業への参入を決めた。今年度(2023年度)中に、沢井製薬が運用する自社ECサイトを通じたダイレクトマーケティングの手法で、機能性表示食品のサプリメントの販売を本格的に始める。昨年実施したテストマーケティングの結果を踏まえて事業性を評価。健康食品事業の開始を正式に決めた。
機能性表示食品『トリプル生活習慣』、テストマーケ結果を評価
サワイGHDは21年5月に発表した、2030年度に実現を目指すグループ全体の長期ビジョンで、ジェネリック医薬品事業を中核としつつ新規事業も育成する目標を掲げた。育成する新規事業としては、デジタル・医療機器事業、オーファン(希少疾患)新薬開発事業とともに、健康食品事業の3つを挙げ、それぞれ事業参入していく方針を示していた。主力事業のジェネリック医薬品と、成長分野に狙いを定めた新規事業の2本柱で、疾患予防から診断、治療までの幅広い領域を、グループ全体でカバーしていく狙いがある。
昨年8月から11月までの約4カ月間実施したテストマーケティングでは、機能性表示食品として消費者庁へ届け出たサプリメント『トリプル生活習慣』を自社ECサイトで販売。ウェブ広告の展開などデジタルマーケティングもテストした。その結果を基に、リピート型マーケティングの指標となるCPO(新規顧客獲得コスト)や定期CPOをKPI(重要業績評価指標)として事業性を評価。その結果、「KPIをクリアし、sawai(ブランドの)健康食品が市場に十分受け入られることを確認」できたという。このため、健康食品事業の開始を決定した。
自社ECサイト軸にしたダイレクトマーケティング展開へ
本格販売を始める具体的なスケジュールは今のところ決定していないが、今夏ごろを見込む。まずは『トリプル生活習慣』を、沢井製薬で運用する自社ECサイト「すこやか応援団オンラインショップ」を中心にしたダイレクトマーケティングでの販売展開を本格化させる。テストマーケティングでは、販売期間はじめ販売ターゲット層、販売施策などを限定的なものにとどめていたが、事業化する23年度は、健康食品事業の拡大と、ダイレクトマーケティングに関するさらなるノウハウの蓄積を目指す。
販売する製品数も順次、増やしていくとみられる。沢井製薬が現在までに消費者庁へ届け出ている機能性表示食品のサプリメントには、『トリプル生活習慣』以外にも、『歩行維持力』など2製品がある。サワイGHDでは、「当面は生活習慣病対策、ロコモ・フレイル対策などの市場をターゲットとし、順次その周辺領域を拡大」していく将来構想を示している。
事業会社化も視野に事業拡大図る
また、将来的に事業会社化することも視野に入れている。「製薬会社であるsawaiならではの商品の開発を進め、事業会社化も視野に入れて(健康食品の)事業拡大を図る」という。
沢井製薬は昨年1月、機能性表示食品の届出を初めて実施。届出資料が公表されたのを受け、いつ販売を始めるのかなど、業界関係者から動向が注目されていた。
近年、医療用医薬品メーカーが健康食品事業に参入する動きが目立っている。昨年3月には、抗がん剤『オプジーボ』を開発したことで知られる小野薬品工業㈱(大阪市中央区)が睡眠ケア領域の機能性表示食品のサプリメント『レムウェル』を発売し、健康食品市場に新規参入した。
【石川太郎】
(冒頭の画像:沢井製薬がテストマーケティングを行った機能性表示食品のサプリメント。同社提供)
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