エビデンス入門(33)~機能性表示食品の安全性情報の調べ方(前)
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関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏
機能性表示食品は、最終製品の安全性について記載する書式が用意されている。届出者が、安全性情報についての情報を記載するのだが、この安全性情報は、「最終製品に関する安全性」について記載することが大前提となっており、届出者が最終製品の安全性について、「喫食実績による食経験の評価」、「既存情報を用いた評価」、「安全性試験の実施による評価」と進んでいく。
ほとんどの届出製品は、喫食実績による食経験の評価と、「既存情報を用いた評価」で「安全性に問題ない」という判断を行っている。既存情報を用いた評価では、一般的には「機能性関与成分」や機能性関与成分の起源原料に関して、安全性情報が記載されたデータベース、例えば医薬基盤・健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報に掲載されている素材データベースを検索し、届出商品の安全性を評価する。
素材データベースには、素材(起源原料や機能性関与成分)について検索することが可能で、素材の健康や医学的観点からの有効性と、安全性がまとめられている。ここに記載されている情報は、査読付き論文など一定の評価を得た論文から引用された情報を情報源としてまとめられている。そのため、この素材データベースから得た情報は、二次情報となる。
自身でPubMedや医中誌などの文献データベースを探し、論文を見つけその論文について記載された事項を根拠に安全性を評価する場合は、一次情報となるので、この違いについては理解しておく必要がある。
また、既存情報で安全性の評価が十分でなければ、安全性試験の実施結果などをもって安全性を判定する。この際も、安全性試験が査読付き論文などで公表されている場合は、参考文献を引用することで報告書などの添付を省くことができる。
安全性試験の実施は、動物や細胞レベルの試験、ヒト試験と段階を踏んでいくが、まったく新規の原料で起源植物も喫食実績が乏しい場合は、マウスなどのげっ歯類を用いた急性毒性試験などを経て、ヒトでの評価が必要になる場合がある。
ヒトでの評価は、トクホの過剰摂取試験の方法を用いて実施することが多く、食品の形態(飲料などの加工食品かサプリメントタイプの加工食品か)によるが、1日摂取目安量の3倍または5倍を継続摂取させ、安全性を評価することになる。これらの試験においても、あくまで安全性の評価は、最終製品または最終製品と類似する製品での評価が前提となっている点に注意が必要である。
(つづく)