アップサイクル機能性表示対応素材 【機能性表示食品特集】BHNの完熟オクラシード、まずは肌の健康維持で
健康食品の原材料開発・販売と最終製品受託製造を手掛けるビーエイチエヌ㈱(BHN、恩田明広社長)の機能性表示対応素材がまた増えた。鹿児島県で生産される「オクラ」のうち、廃棄される種子を原料にしたアップサイクル型の健康食品用原材料を先ごろ追加。SDGs(持続可能な開発目標)に対応しながら、肌の健康をサポートする旨を表示、訴求できるようにした。
鹿児島県産オクラ由来機能性表示食品の「元年」に
BHNが新たに機能性表示食品対応素材化したのは、「完熟オクラシード」を製品名とする完熟オクラ種子抽出物(粉末)。原料となる完熟オクラ種子由来の環状ペプチドの一種である「OF4949-Ⅱ」、通称オクラペプチドを機能性関与成分とするもので、肌の弾力を維持し肌の健康をサポートする機能がある旨の届出を5月までに完了。研究レビュー(SR)の提供など、届出サポートに対応できる体制を整えた。
オクラの国内一大産地である鹿児島県指宿市で地域資源の活用に取り組む地元事業者と出会ったことが、完熟オクラシードを開発するきっかけになったという。
オクラは生育が早いため、成長しすぎて出荷規格外となるものが多く発生する。そのほとんどが廃棄物として焼却される。それを健康食品の原材料として有効活用できないか──。そう考えたBHNや地元の大学が共同研究を進めた結果、完熟したオクラの種子に、皮膚を構成する細胞外マトリクスを減少させる酵素の働きを阻害する機能などがあることを見いだし、製品化を進めることになった。
届出公開後の業界の反応は、「届出以前に比べて引き合いが増えた。もともとオクラの健康イメージの高さで評価されていたサプリメント形状を中心に、これから広がっていくと思う」と、同社の原材料担当者は語る。
今年、2023年は、指宿産のオクラを活用した機能性表示食品の「元年」とも呼べそうな年だ。BHN以外からの届出も公開されており、それがオクラとして初の機能性表示食品の届出になった。同社とも関わりのある地元の事業者が、オクラ由来水溶性食物繊維を機能性関与成分にした青汁を届け出たもので、食事に含まれる糖の吸収を抑え、食後に上がる血糖値を抑える機能が報告されている旨を表示する。
多彩な機能性、睡眠ケア機能も示唆
健康食品素材としては地味な存在であったといえるオクラだが、備えている機能性は多彩であるようだ。実際、BHNは「完熟オクラシード」に睡眠の質を向上させる働きがあることも見いだしている。今のところ、動物試験のほか、ヒトを対象にしたモニター試験で確認できたにとどまるが、モニター試験では、評価指標とした質問(起床時睡眠間調査票)の全てについて数値の改善が見られたという。
完熟オクラシードは以前から、「睡眠に関する機能に対して興味を抱かれることも多かった」と同社。「現時点ではエビデンスが足りないし、関与成分もはっきりしていない。すぐに睡眠に関する機能性を表示できるようにするのは難しいが、引き続き研究を行い、将来的には肌と睡眠のダブルヘルスクレームを行えるようにしたい」と話している。
【石川太郎】
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区神田錦町1-16(本社)
TEL:03-5281-5661
URL:https://bhn.co.jp
事業内容:サプリメント・健康食品等の製造販売
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