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製剤技術を通じて消費者に寄り添う 受託製造のアリメント工業、グミ様カプセルを開発

 サプリメント・健康食品受託製造のアリメント工業㈱(山梨県南巨摩郡、若尾修司社長)が新技術を相次いで開発している。ソフトカプセルや錠剤などを摂取しやすくしたり、配合した成分の吸収率や安定性などを高めたりする製剤技術を次々に開発。競合他社との差別化を図りつつ、国内外の顧客が販売する最終商品の価値向上をサポートする目的だ。直近では、通常は水とともに摂取するソフトカプセルを噛んで食べられるにしたグミ様カプセルの製剤技術を開発。特許出願もした。

噛んで食べるカプセル 温度の影響も受けず

 グミ様カプセルは、ゼラチンソフトカプセルの技術を応用しつつ、国内外で規制されない海藻由来の高分子成分を添加することで、水なしで、グミのように噛んで食べられるようにしたチュアブルタイプのソフトカプセル。一般的にソフトカプセルは、噛んで破断できるほど強度は低くない。しかし特許出願した技術を背景に、グミのように柔らかい食感のソフトカプセルを製剤化できるようにした。カプセルを飲み込むのが苦手な子どもから高齢者まで気軽に摂取できるのが特長だ。

 また、ソフトカプセルの強度は温度の変化によって変わっていくことが知られるが、その点も技術で解消した。ソフトカプセルは一般的に、温度が高まると強度が下がり柔らかくなる一方で、温度が下がると強度が高まって硬くなる。その中で同社が開発したグミ様カプセルは、マイナス20度からプラス40度まで広い範囲の温度環境下で保管しても、製造・出荷時の強度を一定期間、保持できるという。このため、温度が高い環境で保管すると生じることのあるカプセル同士の付着を防止する機能も付加されている。

 技術開発を担当する同社R&Dセンター(静岡県富士市)の下川義之センター長は、「これまでにも噛んで摂取するソフトカプセルは開発されてきたが、温度の影響をほとんど受けないものは他にないと思う。気温の高い東南アジア市場に展開する場合でも、品質を保つことができる」としている。

苦味を隠す新技術も イチョウ葉をチュアブルに

 サプリメントを水なしで摂取するというコンセプトで同社が開発した製剤技術は他にもある。イチョウ葉やカテキンなど、苦味の強い粉末原材料の表面を微粒子でコーティングして苦味をマスキングする技術を開発。原材料自体の苦味を大幅に抑えることで、水なしで摂取できるチュアブル錠(口腔内崩壊錠)を製剤化できるようにした。すでに特許(第7065454号)を取得している。

 この微粒子コーティング技術を活用したチュアブル錠の機能性表示食品が先ごろ届け出された。同社が届け出たもので、配合したのはイチョウ葉の抽出物。イチョウ葉を配合したサプリメント形状の機能性表示食品の大半が通常の錠剤やカプセルで、チュアブル錠は初とみられる。技術開発を主導したR&Dセンターの担当者は、「ヘルスクレームは同じでも差別化が可能になると思う。苦味が強いなど、風味が課題になる原材料は少なくない。さまざま原材料に応用し、お客様が販売する機能性表示食品に付加価値向上に貢献したい」と話す。

 「摂取する人に寄り添うのが製剤技術。技術で課題を解消し、摂取しやすくすることで、継続して摂取してもらえるようにもなる」と下川R&Dセンター長は話す。「医薬品に比べ、サプリメントの製剤技術は遅れ気味。だが、その分、技術開発の余地がまだ残されている」という。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:グミ様カプセルと通常のゼラチンカプセルを同じ力で押し込んだ時の様子。前者のほうがかなり柔らかいことが分かる。各画像の提供:アリメント工業)

関連記事:噛んで摂取するイチョウ葉サプリ 機能性表示食品として届出

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