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W放談ライブで小林製薬問題を議論 その他のいわゆる健康食品「錠剤・カプセル」タイプが流通禁止に?

 ㈱ウェルネスニュースグループ(WNG、東京都港区)は15日、「小林製薬『紅麹製品』回収問題を斬る!」と題してYou Tube「W放談」をライブ配信した。ゲストに東京大学名誉教授で食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏を迎えた。

 小林製薬㈱(大阪市中央区)がグンゼ㈱(大阪市北区)から紅麴原材料の製造・販売事業を譲渡された2016年5月から、消費者庁が機能性表示食品の安全性に関する「緊急点検」の結果を公表した今年4月12日までを年表を用いて時系列に振り返った。

 「なぜ小林製薬の商品だけで健康被害が生じたのか?」、「原因はモナコリンKではなく本当に厚労省が発表したプベルル酸なのか?」、「プベルル酸だとしたら原料を作るどの過程で混入したのか?」――事故の原因について仮説に基づいた検証を行った。

 唐木氏は、小林製薬が引き起こした問題が機能性表示食品や健康食品全体に対する不信と不安を広げている点について、07年に発生した中国産冷凍餃子事件がもたらした風評被害を例に挙げ、同事件の二の舞にならない方策は「原因究明」、「被害拡大防止」、「再発防止」、「丁寧な説明」しかないと述べた。

 また、機能性表示食品制度に対する風当たりが強まる風潮に対し、「紅麹サプリによる健康被害事件を機能性表示食品の問題に矮小化すべきではない」との警鐘を鳴らした。昨年、消費者庁が届け出表示に対して措置命令を下した「さくらフォレスト問題が提示した効果判定法の課題」を例に挙げ、健康食品制度全体を総合的に議論し改善することが「無効有害」という健康食品に対する不信感の一掃につながると訴えた。そのために「業界は一致して努力すべき」とする一方、業界団体から一向に気の利いた声明が出てこないことに懸念を示した。

 W放談ライブでは、各政党や日本弁護士連合会から機能性表示食品制度の改善が求められているのを受けて、健康食品の安全を守るための仕組みについて議論した。
 「健康被害事象の報告の義務化」、「健康食品GMPの義務化(原材料含む)」のための食品衛生法の改正で問題は解決するのか?

 唐木氏は、日本弁護士連合会の会長声明にある「機能性表示食品制度の法的根拠を内閣府令(食品表示基準)ではなく法律に」を評価し、一般食品と健康食品・サプリメントを区別するためのサプリメント法(仮称)制定の必要性を強調した。

 そこに至るステップとして、保健機能食品以外の「その他のいわゆる健康食品」について、錠剤・カプセルタイプの健康食品の流通禁止の可能性に踏み込んだ。

【解 説】
 現在、厚生労働省や消費者庁は、健康食品を食品衛生法で規定する「一般食品」とみなし、その中でも健康食品の範疇にある保健機能食品(特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品)を「いわゆる健康食品」と位置付け、一般の健康食品を「その他のいわゆる健康食品」として括っている。

 そして、健康食品は飲料も錠剤・カプセルタイプの健康食品も全て一般食品として食品衛生法の枠の中で扱われているため、健康食品GMPの義務化1つ取っても、健康食品(=一般食品)にGMPを義務付けるとなると、地方の小さな工場にもGMPを押し付けるかたちとなり、事業者の経済的な体力からして大変な無理を生じるし、ほぼ不可能と思われる。
 仮に健康食品だけにGMPを義務付けるとなれば、どこからどこまでを健康食品と呼ぶのか、トクホで許可を受けている飲料は健康食品なのか?青汁はどうなのか?現在、健康食品の範疇とされている黒酢も健康食品と呼べるのか?また、黒酢には飲料タイプと錠剤・カプセルタイプのものが流通しているが、その両方を健康食品というジャンルで一括りにしてよいのか?――などの難しい問題が生じる。そのため、どうしても健康食品・サプリメントの法的定義が必要となってくる。ここからここまでが健康食品・サプリメントであると、一般食品でもなく医薬品でもないジャンルをはっきりと定める法律の制定が消費者の安全確保のためには欠かせないものと考えられる。

 裏を返せば、健康食品がこれまで、このようなあいまいな状況に置かれ続けていたこと(行政があいまいな状態で放置していたこと)が、効果効能を標榜できるにもかかわらず、一部を除いて国の許可も必要とせず、一般食品とほぼ同じ安全管理によって医薬品に近いヘルスクレームを標榜して市場に流通することができるという、とても矛盾した危うい現状を生み出してしまったわけである。うがった見方をすれば、小林製薬の紅麹問題は、その矛盾が死者まで出してしまうという重大な事故を引き起こす要因の1つになったということも言えるのではないか。

 以上のような現状を改善するためにもサプリメント法はぜひ必要だと思われるが、一足飛びに法制定となると、手続き上も大変な困難を伴うことが予想される。そこでまずは「その他のいわゆる健康食品」における錠剤・カプセルタイプの健康食品・サプリメントを規制し、錠剤・カプセルタイプについては少なくとも保健機能食品のみで流通させるという次善の策を取ってはどうかというのが、唐木氏の問題提起である。

 ちなみに、海外の制度に詳しい㈱グローバルニュートリショングループは、我が国と米国の制度の違いについて以下のとおり紹介している。

 出典:(株)グローバルニュートリショングループ調査

 また、同社の武田猛社長は今月10日発売の『ウェルネスマンスリーレポート70号』(ウェルネスニュースグループ刊)で開催した座談会で、「海外でサプリメントが法的に定義されていないのは、韓国、中国、台湾だけだが、これらの国でも、サプリメント形状の輸入製品は別扱いになっている」とし、中国:一般食品では輸入NG、保健食品の申請、許可が必要。韓国:健康機能食品(HFF)の申請、許可が必要。台湾:「錠剤、カプセル状食品」として事前に政府への登録が必要。さらに、韓国HFFはGMP義務、台湾「健康食品」もGMP義務――と説明している。

【田代 宏】

(冒頭の写真:唐木氏(中央)、左から石川記者、筆者)

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