TSOインターナショナル、コロナ禍でフルリモート体制確立(前)
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、4月から実施されてきた緊急事態宣言も全面解除へ向けて動き出した。世界では、解除後に再び感染が広がるケースも少なくないため、ポストコロナの過ごし方も大事になる。コロナとの遭遇により、企業の在り方も変化した。TSOインターナショナル(株)代表取締役の佐々木剛氏に同社の取り組みを聞いた。
<ポストコロナに向けての準備期間>
――本日は本誌で初となるオンライン取材です。新型コロナウイルスの影響で街の景色が変わりました。
佐々木 世の中が大きく変わっていく流れです。個人的にはこれはこれでチャンスだと思っています。産業革命レベルですから、今までの古い価値観が一気に変わっていきます。本来、変わるべきところがこれほどまでに急速に変わることはなかったのではないですか。
――例えば?
佐々木 KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)設定のないなかで、資料を持って説明のために顧客に会いに行くとか、もしくは何となくイベントに参加することなどがなくなると、非常に筋肉質な社会になります。もともと、我が国では社会に出て学び直すというリカレント教育の意識が弱かったですから、新しいテクノロジーや価値観、ダイバーシティなど、急遽、オンラインを通じてみんなが学び始めたというのはすごくいいことだと感じます。
――ほとんどの企業がオンラインツールを用いて、打ち合わせなり会議なりを始めましたが、ポストコロナを迎えるための準備期間と言えるのでしょうか?
佐々木 そうですね。正直、コロナ禍が明けるのを待って元に戻ることを期待している人たちというのは、その後の業績に影響が出てくると思います。企業の事業を変えるための準備期間は2月から5月中旬まで与えられていたわけですから、今準備ができていない企業の成長の期待は難しいのではないでしょうか。
――新型コロナウイルス感染拡大は、貴社の業績にどのような影響をもたらしていますか。
佐々木 業績に対するマイナス影響は今のところ大きく出ていません。パシフィコ横浜で7月に開催を予定していた「第8回CAFERES JAPAN・第5回ウェルネスライフジャパン・第2回お米産業展・第1回ジャパンベーカリーショー」は、10月に延期しましたので、業績に対して大きなかたちでは反映されていません。
ただし、延期になったことで作業レベルでは業務が増えました。ホームページの改修からパンフレットの改修、関係各所への周知徹底など、あらゆるものに対して時間と手間がかかりましたので大変でした。しかし、コロナ禍に伴うテクノロジーの活用で新たなプロジェクトが立ち上がり始めましたので、それが早めに始動すればむしろ相当なプラスになると思います。
――具体的には?
佐々木 オンラインセミナーやオンライン教育です。また、販促機会を失っているクライアントが多いので、その方々のサポートプログラムを作っています。中小企業は展示会がなければ新規のつながりが作れないことが多いです。その方々のためのバーチャルな販売促進の場としてのバイヤーとマッチングできる展示会を構想しています。
――参加費は?
佐々木 当初は参加料無料で、効果があると判断いただければ課金を当然させていただきます。テクノロジーでのビジネスの広がりについては可能性があると見ています。
――いつ頃を予定していますか。
佐々木 6月にテストして、7月頃のスタートを予定しています。
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都新宿区荒木町20-21-9F(本社)
香川県高松市国分寺町新居852(香川オフィス)
TEL:03-6273-0403
FAX:03-5363-0301
URL:http://tso-int.co.jp
事業内容:各種展示会運営など
(写真:「ZOOM」を用いたインタビューに応じる佐々木社長)
【聞き手・文:田代 宏】
(つづく)
/(後)