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NMDBの規約変更に弁護士が見解 健康食品産業協議会が会員企業に周知

 (一社)健康食品産業協議会(JAOHFA、橋本正史会長)は、(一社)健康食品・サプリメント情報センター(Jahfic、田中平三代表理事)が昨年12月31日に公表したナチュラルメディシン・データベース(NMDB)の利用規約に関する見解を示した。会員企業宛てにきのう11日、メールで周知した。

 JAOHFAは法律的な観点から弁護士に聞いたとし、次の3点について弁護士の一般的な見解を示した。

・NMDBの利用規約(2023年12月31日付)は、法律的根拠を元に作成されており、この利用規約に同意した場合、当該規約の内容を守る必要がある。
・NMDBの利用規約(2023年12月31日付)に同意すると、機能性表示食品の過去の届出まで遡って利用料を請求されることも法律上やむを得ない。
・NMDBの利用規約(2023年12月31日付)に同意し、その後契約を解消した場合、離脱条項に注意する必要がある。

以上

 NMDBをめぐっては、データベースを運営するJahficが昨年(2023年)12月31日付で公式サイトに「お知らせ」を掲載。一方的に規約を変更し、NMDBの情報を使用もしくは国立健康・栄養研究所を通じて結果的に孫引き使用している事業者に対し、使用料を徴収する旨の告知を行った。
 24年1月31日までにJahficの会員になるかどうかの態度表明を迫った上、無断使用している事業者に対し、3月中に機能性表示食品の届出撤回を求めていた。撤回しない場合、届出した過去にさかのぼり無断使用料を徴収すると予告していた。それを受けるかたちで、今年に入り、このことが原因と思われる届出撤回ラッシュが続いている。上の弁護士の見解は、あくまでJahficの会員となって同意書を提出した場合のことだと考えられる。同意(入会)せず、かつ規約を履行しないケースについては見解が示されていないものと解釈できる。

 例えば、会員にも「NMデータベース会員」、「NM情報会員」、「HQ会員」などがあり、それぞれについて情報利用料や販売品の営業利用料(使用許諾料)に制限が設けられている。規約に違反した場合は、届出日以降の利用期間に対して別途、無断使用料(1製品当たり年額1万3,200円)が徴収される仕組みだ。

 このように業界が混乱に陥る中、消費者庁は「事業者個別の問題なので関与せず」との姿勢を崩さず、過去に安全性情報を流し続けていた国立健康・栄養研究所は「現時点で素材情報データベースの安全性情報を再開する予定なし」とし、今回の混乱については「著作権者(NMDBサイド)の判断によるもの」と述べて責任を回避してきた。

 Jahficの急な要請に混乱する事業者が相次ぎ「規約が分かりにくい」、「料金体系が不分明」、「NMDBを使用するメリットは?」、「撤回した場合は情報も書き換える必要があるのか」などの質問が当社編集部にも数多く寄せられていた。その最中に起きたのが小林製薬㈱(大阪市中央区)による「紅麹関連製品」回収問題である。 

 回収問題を受けて、読者の中にはNMDBを使用せずに他の検索データベースで代用しようとする原料メーカーなどの方針を危惧する意見もある。以下に紹介する。
 「医薬品との相互作用の情報は、NMDBが一番多く網羅しており、他の検索データベースでは見つからないことが多い。そのため、“医薬品との相互作用については見当たらなかった”と結論する届出が必然的に増え、もしNMDBを使っていたら記載されるべき事項が、空欄となりがちになる。これは、消費者にとってデメリットになると思う。
 販売会社の希望もあり、販社に金銭的な負担をかけさせないように、原料メーカーは必死の努力をして<様式Ⅱ>の安全性根拠資料を作成しているが、やはり事前にNMDBクラスの情報量の多いデータベースを確認し、少しでも懸念事項があれば他のデータベースでも必死にそれを探すという作業を経なければ、サプリメントの社会的評価を上げることはできないと考える。そういう努力をしている原料メーカーもあるし、そうではないところもあるので、今後が不安である」

 ガイドラインでは、「2次情報による評価では情報が不十分であると判断された場合等には、1次情報の検索が必要になることに留意する」(医薬品との相互作用に関する評価)とあり、参考にしたデータベースに記載がない場合は、自ら1次情報を調べて相互作用の有無の確認をする必要がある。これを踏まえて別の読者からは、NMDBで「相互作用なし」の成分を1次情報で調べた結果、相互作用があることが判明し、届出書類の変更、ラベル表示の変更に至ったケースがあるという。

 NMDBをめぐるこれらの意見や指摘は、今後の健康食品の制度を考える上でも重要な視点となる。安全性情報にアクセスする事業者の権利と、消費者の安全確保は切っても切り離せない関係にある。誰のための健康食品・サプリメントかという大前提について、関係者は一致協力して熟慮する必要に迫られている。

【田代 宏】

(冒頭の画像:2023年12月31日付「NMDB」の規約)

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関連動画:W放談10「Q&A問21問題」(YouTube「ウェルネスデイリーニュース」より)
    :W放談12「行政開示文書公開」(同上)

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