COJ、サカイCL62を提訴 医療業界初か、ネット広告に対する差止請求訴訟
特定適格消費者団体(特非)消費者機構日本(COJ、東京都千代田区、菅波睦子理事長)は10日、(医)サカイクリニック62 (東京都渋谷区、坂井万里理事長)に対し、同クリニックが行っている「再生医療・免疫療法」に関するインターネット上の広告表示が、景品表示法に基づく「優良誤認表示」に該当するとの疑いから、差止請求訴訟を提起した。
COJは、サカイクリニック62の広告に関する情報提供を受け、同クリニックのウェブサイト上の広告内容を調査した。その結果、一部の広告が景品表示法に違反する可能性があると判断し、2024年4月4日に質問書を送付した(回答期限5月20日)。これに対し、同クリニックは同12日と18日に一時的にウェブサイトの変更を約束したものの、その後も広告表示の改訂が遅れ、最終的に改訂時期が「来年になる」との回答を受けた。
そのため、速やかに景品表示法に反する広告を削除するよう求める正式な申し入れを行ったが、クリニック側は再度、編集の終了が翌年になると回答した。このため、消費者機構日本は差止請求を行い、相手方に通知が到達したにもかかわらず是正措置が取られなかったため、やむを得ず東京地方裁判所に提訴するに至った。
本訴訟では、医療広告が一般消費者の合理的な選択を妨げたかどうかが焦点となる。特に、サカイクリニック62が行う「再生医療・免疫療法」に関する広告が、消費者に誤解を与える表示であったかが争点。COJによれば、日本において「再生医療・免疫療法」に関する広告表示に対する訴訟は初めてとのこと。裁判の結果は今後の基準を定める可能性がある。
自由診療分野では、美容医療や歯科診療(インプラントなど)で消費者被害が頻発しているが、近年では再生医療やがん治療などの先端医療分野にも拡大しており、本件もその一例。この分野の医療広告は人の生命に直結するため、問題が一層深刻だ。
【田代 宏】
訴状など詳細はこちらから(COJホームページより)