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6・6プレスリリースの「怪」(7) JCAHF回答書、「全ては消費者のため?」

 8月1日付で(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA、矢島鉄也理事長)が(一社)日本健康食品認証制度協議会(JCAHF、信川益明理事長)宛てに出した質問書に対する返書が11月24日付の書面でJCAHF信川理事長から届いた。

 「これまでのトーンと変わらず、回答になっていない」と困惑顔のJHNFA。A4サイズの用紙4枚にわたる文書には、11の質問に対する答えが項目ごとに箇条書きで記載されていた。

 信川理事長は、「まずは当協議会(JCAHF)の基本的な考え方として」と前置きし、JCAHFが(JHNFAやJHIFSの)認証機関を選任・監督することで認証制度が目的とする「消費者の健康の安全を守る使命を負っている」と繰り返し述べ、消費者との利益の対立が生じ得る健康食品業界とは利益相反の関係にあることを説明。ゆえに、JCAHFの独立性を維持するためには同協議会において、健康食品業界関係の人員を一定程度に制限する必要があるとしている。
 これはJHNFAの質問書8.「協議会のメンバー構成」に関する回答とも重なるが、現在、JCAHFは理事長を含む8人の役員で構成されているが、業界サイドの役員が2人に過ぎない点について釈明したもののようである。
 その後に続けて、2022年11月11日時点の資金残高が343万1,081円に過ぎないとし、JCAHFの財務状況がひっ迫した実情を紹介している。

 JCAHFの「基本的な考え方」によれば、長年据え置きしてきた従来料金の改定は「現在の経済的基準からは合理的な金額」であり、JHNFAが求める関係者(認証機関、製造業者等)との十分な協議も「当協議会が健康食品業界の側に傾いているとみなされるため」避けなければならないとなる。さらに続けてJCAHFがJHNFAを認証指定機関に選任し管理監督するシステムから考えると、「当協議会(JCAHF)が貴協会(JHNFA)の同意がないと何もできないと考えることは、論理が破綻しているものと考える」とやや高飛車に主張している。

 以下に、JCAHFの回答文書を紹介する(一部用字用語については編集部の規定に従い修正している個所がある)。

1.事前説明について
 当協議会としては、貴協会に対し十分な事前説明を尽くしたと考えております。(前置きで説明したとおり、)関係者との協議はもちろん必要ですが、当協議会が貴協会を認証指定機関に選任しその管理監督を行うシステムから考えても、当協議会が貴協会の同意がないと何もできないと考えることは、論理が破綻しているものと理解しております。なお、さらにご説明が必要な場合には、ご説明の場を設けさせていただくことにやぶさかではございません。

2.プレスリリースについて
 (前置きで説明したとおり、)当協議会は、消費者の健康の安全を第一義的に考えて、独立した組織として適切と考えるプレスリリースを行いました。

3.料金改定の理由について
 当協議会の現在の収入は認証機関指定料等の限られたものであり、2022年11月11日現在の財源残高は343万1,081円です。当協議会の存続に必要な業務委託料(月22万円)等の必要費用だけを考えても財務的破綻が迫っており、当協議会を存続させてその活動を活発化するためには、長年据え置きにしてきた各種料金の値上げ改定はやむを得ないものです。改定後の金額に関しましても、長年の据え置きと現在の経済的基準からは合理的な金額と考えております。
なお、貴協会は認証料をこれまで値上げしておられないのか、また、今後の値上げはお考えになられていないのかご説明ください。

4.2021年度分請求書について
 2021年度に関しましては、従来の金額で請求させていただきお支払いいただいております。(編集部:9月21日付で従来料金に関する請求書がJCAHFからJHNFAに届いており、JHNFAは28日に支払いを済ませている。JIHFSも同様。)

5.当協議会の収支について
 当協議会の収支に関しましては、上記3の回答を参照ください。

6.ロゴマークの変更について
 認証制度の普及に関しましては、大手食品会社の参加も少なく、到底満足のいく状況とは考えておりません。消費者や大手食品会社の認知度を上げ、認証制度の普及を図るための一助として、認証マークを統一し、認証制度の監督機関である当協議会の認証マークに一新する改革が必要と考えました。この点は、厚労省とも協議しております。

7.指定基準について
 (前置きで説明したとおり、)当協議会が消費者の健康の安全確保を第一に考えて客観的かつ独立した立場から認証制度を運用するためには、消費者と利益相反関係にある健康食品業界と一線を画した運用が必要であり、貴協会の同意なく指定基準の変更ができないとすることは消費者の利益を無視するものです。
当協議会が貴協会を認証指定機関に選任し、その管理監督を行うシステムから考えても、当協議会が貴協会の同意がないと何もできないと考えることは、論理が破綻しているものと理解しておりますし、当協議会に適用される各種規約等において、貴協会の同意を変更条件とするものはありません。

8.当協議会のメンバー構成
 (前置きで説明したとおり、)当協議会が、消費者の健康の安全確保を第一に考えて客観的かつ独立した立場から認証制度を運用するためには、消費者と利益相反関係になり得る健康食品業界と一線を画した運用が必要であり、その結果として健康食品業界の代表を多く入れることは認証制度の趣旨に反すると考えるからです。

9.「ロゴマークの統一」に関する説明について
 7月4日前にも当協議会は貴協会にマークの統一に関し説明してきたものと認識しています。認証制度の普及に関しましては、大手食品会社の参加も少なく、到底満足のいく状況とは考えておりません。消費者や大手食品会社の認知度を上げ、認証制度の普及を図るための一助として、認証マークを統一し、認証制度の監督機関である当協議会の認証マークに一新する改革が必要と考えました。この点は、厚労省とも協議しております。

10.「資料提出の拒否」に関する説明について
 貴協会が決算報告等の提出を拒否したことがないとのことであれば、改めて過去3年分の決算報告等の提出を求めます。

11.継続協議について
 当協議会がこの度の変革に関し、説明を継続することはやぶさかではありません。しかし、消費者の安全を守るという認証制度の趣旨から考えて、当協議会は、独立した客観的立場を取る必要があり、当協議会が貴協会を認証機関に選任し、その管理監督を行うシステムから考えても、消費者との利益が対立し得る健康食品業界の同意がないと当協議会の規約等を変更できないということには到底賛成できません。

 以上、質問に対して逐条的に説明を述べた後、以下の一文を追記し「以上、回答いたします」と結んでいる。

 「なお、当協議会は、貴協会と協議を継続することにやぶさかではございません。その一助とするために、貴協会が異議をお持ちの当協議会諸規約の改定部分(各種料金の変更を含みます)に関し、理由を付して具体的にご指摘ください」

 回答文書から受ける印象は、検討会の報告書が言う関係者による『紳士協定』的な解決策に関するコメントは一切なくて無視。厚労省・有識者・消費者・事業者のみんなで助け合おうという報告書の趣旨からは外れ、健康食品業界は消費者の利益に反する。したがって、「あなたたちは消費者のためになっていないのだから、俺がちゃんとやるんだ!」という乱暴な主張が透けて見える。

 これらのやりとりについて、JCAHFに取材を申し入れても全く相手にしてもらえないため、JHNFAへの一方的な取材になっていることを念のためここに付け加えておく。

 JHNFAは回答文書に対して、「(JCAHFは)値上げの金額が合理的だと主張しているが、何をもって合理的とするのか、その根拠が示されていない。(資金がひっ迫しているとあるが)今いくら残っているかではなく、これまでにどのような収支が行われたのかについて説明が全くない。例えば、GMP認証にかかるお金がこれで、こういう理由でお金がないと。であれば、例えば事業者さんから頂くのをどれくらい上げていこうかとなる」と、具体的な事業収支を出してほしいという。
 つまり、JCAHFは事業として学会運営も切り回しているため、財布の中身をきちんと分けているのか、あるいは違う財布で適切に事業が行われているのか、提示してほしいということだろう。

 投げられたボールに対し、JHNFAは2月13日、改めて白紙撤回を求めるボールを投げ返している。

(つづく)
【田代 宏】

(冒頭の写真:2022年11月24日付、JCAHFの回答書)

関連記事:6・6プレスリリースの「怪」(1)
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    :6・6プレスリリースの「怪」番外編 第三者スキームはどうなるのか?

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