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糖質カット炊飯器『LOCABO』表示訴訟 「一般消費者」の定義めぐり国とメーカーが真っ向対立

 糖質を最大45%カットできるとうたった炊飯器『LOCABO』の表示を巡り、消費者庁が下した措置命令の是非を争う控訴審の第3回口頭弁論が3月18日、東京高等裁判所(三木素子裁判長)にてウェブ会議方式で開かれた。一審の東京地裁では、消費者庁による「表示から消費者が受ける印象」の認定に誤りがあったとして措置命令を違法とする判決が出た。これに不服を申し立てた国(消費者庁)と、一審判決の維持を求める販売元の㈱forty-four(東京都渋谷区、獅子内善雄社長)との間で、激しい論戦が繰り広げられた。

 今回の口頭弁論では、景品表示法7条2項(不実証広告規制)の適用プロセスに加え、同法の核心ともいえる、表示の受け手となる「一般消費者」をどのような存在として定義すべきかという根本的な解釈をめぐり、双方が準備書面を通じて鋭い反論を展開した。

不実証広告規制の「認定」プロセスをめぐる攻防

 争点の大きな柱となっているのは、景表法7条2項の運用。この規定は、事業者が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示せない場合に、その表示を不当表示(優良誤認)とみなすというもの。
 被控訴人であるforty-four社は、一審判決の内容を支持する立場から、消費者庁による前提条件の認定ミスを厳しく指摘した。同社は、消費者庁が「表示から一般消費者が受ける印象」の認定を誤ったまま根拠の提出を求めた場合、事業者は存在しない前提(誤認された印象)に対する立証を強いられることになると主張。このようなプロセスは不実証広告規制の適用要件を欠いており、その結果として出された措置命令は法的に違法だとした。

 これに対し、控訴人である国は、同項の適用場面において事業者が負うべき立証責任の重さを強調。国側は、事業者が自らの表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料について、「高度の蓋然性をもって確かである」と言える程度まで立証する責任がある。消費者庁長官は、提出された資料が客観的に見て合理的であるかどうかを判断すれば足り、事業者の主張する細かな認定プロセスの不備が直ちに命令の違法性につながるものではないと反論した。

「一般消費者」は無知か、賢明か

 表示が「優良誤認」を招くかどうかの判断基準となる「一般消費者」の具体像についても議論されている。国側は、一般消費者の定義について、昭和60年当時の公正取引委員会による説明などを引用しながら展開した。国が主張する消費者像は、「当該商品について専門的な知識はないが、購入意欲を持って表示に接する人」。具体的には「一応の世間並みの知識水準を持つ者」としつつも、夕方の買い物時などの「少し不注意になっている心理状態」をも基準に含めるべきだとした。

 国は例として、かつてあったパイナップル缶詰の誤認事件(『Pine style Apple』と表記されたリンゴのシロップ漬けをパイナップルと誤信した事例)を挙げた。消費者は常に冷静沈着に表示を読み込むわけではないと強調し、糖質カット炊飯器においても、細かい注釈や技術的な仕組みを精査することなく、キャッチコピーから受ける印象で判断するのが「一般消費者」の実態だと主張した。

 これに対し、forty-four社は国の消費者像を時代錯誤と主張。同社は、インターネットやSNSの普及により、現代の消費者は購入前にさまざまな情報収集を行い、商品の比較検討を丁寧に行うのが一般的だと反論。特に1万円以上するような家電製品を購入する層は、一定の知識を持って表示に接しており、国が想定するような「不注意な消費者」を基準にするのは、現代の実態を無視した過剰な規制につながると訴えた。

 さらに、同社は日本食品標準成分表などの公的データについても言及した。消費者は日常的な食事を通じて、ご飯の食感やみずみずしさといった「水分量」に関する感覚的な知識を一定程度有しており、表示内容がその感覚と著しく乖離していれば疑問を持つはずだ。国が「消費者は五感でしか判断できない」と決め付けるのは、消費者の知性を過小評価しているとの考えを示した。

 三木裁判長は、双方の主張を整理した上で、判決の言渡し期日を6月10日午後1時20分に指定した。消費者の知性をどう評価し、どこまでを過剰な規制とするのか。裁判所の判断が待たれる。

【藤田 勇一】

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