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糖質カット炊飯器訴訟、控訴審本格化 消費者庁が反論、不実証広告規制の解釈巡り激突

 糖質カット炊飯器の表示を巡り、消費者庁の措置命令を違法とした一審・東京地裁判決を不服として、国(消費者庁)が控訴した事件の第2回口頭弁論が2月16日、東京高等裁判所(ウェブ会議方式)で開かれた。控訴人である国側は、原判決は景品表示法の「不実証広告規制(7条2項)」の解釈を誤っているとする準備書面を陳述。これに対し、被控訴人の㈱forty-four(東京都渋谷区、獅子内善雄社長)は3月9日までに反論書面を提出する予定。

「疑い」の段階で資料請求は可能、国の主張

 今回の争点の中心は、景表法7条2項に基づく「不実証広告規制」の運用プロセスにある。同条項は、表示が優良誤認に該当するかを判断するために必要がある場合、消費者庁長官が事業者に対し、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を求めることができるというもの。

 国側は準備書面において、原判決が「消費者庁長官による表示の認定(解釈)に誤りがある場合は措置命令が違法になる」と判示した点について、強く反論した 。国側によれば、資料の提出を求める段階(7条2項前段)においては、当該表示が優良誤認に該当する「疑い」があれば足りるとしている 。

 原判決は、本件の表示が「炊き上がり」について消費者に特定の認識(通常の炊飯器と同等の炊き上がり)を抱かせるものではないと認定し、そもそも同条項を適用する前提を欠くと結論付けた。これに対し国側は、表示全体が一般消費者にどのような印象を与えるかを詳細に説明した上で、優良誤認の「疑い」は十分に認められると強調した 。

立証責任は事業者側にあると強調
 
 さらに国側は、事業者が資料を提出した後の検証段階(7条2項後段)についても、独自の解釈を展開した。景表法7条2項の「みなし規定」は、事業者に自社表示の裏付けデータを保持する義務を持たせることで、迅速な行政処分を可能にし、消費者被害を防止するために導入された経緯がある。

 国側は、事業者が提出した資料が合理的根拠と認められない場合、その表示は法律上当然に優良誤認表示と「みなされる」と指摘。この場面において、事業者は「合理的根拠が存在する事実」を高度な蓋然性をもって立証する責任を負っている。
 被控訴人のforty-four社側は、検証段階においても「疑い」や「おそれ」といった基準で事実認定を行うべきではないと主張しているが、国側は「消費者庁長官は提出された資料を判断するだけで足り、実質的に優良誤認に該当するかどうかを立証する必要はない」と突き放した。

「一般消費者」の定義を巡る攻防
 
 また本件では、「一般消費者」をいかなるものと解釈するかも大きな争点となっている。forty-four社は、過去の知見に基づき「2〜3割が誤認する表示」を基準とすることの不当性や、本件において一般消費者の解釈は無関係であると主張。

 これに対し国側は、表示が優良誤認に該当する「疑い」を判断する上で、基準となる一般消費者の意義を明らかにすることは不可欠だとした。国側が引用する最高裁の判例によれば、景表法における一般消費者とは、個別具体的な個人ではなく、国民を消費者という側面から捉えた「一般的概念」を指す。

 国側は、表示内容(文字、イラスト、画像など)を総合し、社会通念に照らして一般消費者がどのような印象を抱くかが重要であると説明。その上で、不当表示規制の目的は「一般消費者の自主的かつ合理的な選択を確保すること」にあり、市場の公正な競争秩序を回復するための行政規制であるという性質を強調した。

炊き上がりの認識、画像から判別困難か

 具体的な表示内容についても主張が対立している 。forty-four社側は、措置命令が指摘する「通常の炊飯機能で炊飯した米飯」とは、自社商品の通常モードで炊いたものを指すと主張。しかし国側は、これは「世間一般の炊飯器で炊いた米飯」を意味するものであり、被控訴人の主張は誤解に基づくと反論した。

 さらに、糖質カット炊飯機能で炊いた米飯の画像について、forty-four社側は「米の一粒一粒が大きく膨らむ特徴を一般消費者は見て取れる」と主張するが、国側は「通常炊飯の画像と並べるなどの工夫もなく、一般消費者が違いを認識することは困難だ」と断じた。

 国側は、有利な点(糖質カット率)だけを強調し、不利な点(炊き上がりの違い)を具体的に明示しない表示手法は、一般消費者に錯覚を生じさせるものだと批判。原判決の取り消しと、forty-four社側の請求棄却を求めた 。

 次回の指定期日は3月18日午前11時30分から、弁論の要領等が行われる予定。

【藤田 勇一】

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