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米ぬかから3種の新規化合物 近畿大学とオリザ油化の研究グループが論文発表、うち1種に皮膚バリア機能

 米ぬかから油を抽出する際に生じる副産物から3種の新規化合物を発見し、それぞれ化学構造を明らかにしたと、近畿大学(大阪府東大阪市)とオリザ油化㈱(愛知県一宮市)が15日、正式に発表した。発見したのは、脂質であるアシル化グルコシルセラミドの新規化合物3種。そのうち一種に、皮膚の角層のバリア機能を高める働きのあることが、ヒト表皮再現組織モデルを使った実験で確認されたという。
 同大薬学総合研究所の森川敏生教授と、同社研究開発本部長の下田博司氏らの研究グループが明らかにしたもので、研究結果をまとめた論文が先月、海外学術誌『Phytochemistry Letters』にオンライン掲載された。

 アシル化グルコシルセラミドとは、経口摂取や塗布することで肌の保湿作用を示すことが報告されているグルコシルセラミドのグルコース(糖)部分にアシル基として脂肪酸が結合した構造を持つ化合物。同社によると、これまで植物からは見つかっていなかったという。

 研究グループは、米ぬかの副産物から発見して化学構造を明らかにした3種の新規アシル化グルコシルセラミドを「oryzaceramide A」、「同 B」、「同 C」と命名。米の学名(Oryza sativa)にちなんだ。このうち、ヒト表皮再現組織であるヒト表皮三次元培養モデルを使った実験で角層のバリア機能を高める働きが確認されたのは「同 A」だったという。

 オリザ油化は、米ぬかの副産物から得られるグルコシルセラミドを高濃度化した機能性素材の製造販売を1999年から展開。機能性表示食品の機能性関与成分としても供給している。2021年には、近畿大学薬学部総合研究所との共同研究によって、米ぬかからヒト型セラミドの「エラスティカミド」を初めて単離・同定していた。

 同社は今回の新たな研究成果について、「米ぬかという米油の副産物から得られる新しい脂質の機能性を示した点で意義が大きく、今後、保湿作用以外の機能も明らかにすることで、化粧品や機能性食品へのさらなる応用が期待される」としている。

【石川太郎】

(文中の画像:米ぬか(左)と、近畿大学およびオリザ油化の研究チームが米ぬかから発見した新規のアシル化グルコシルセラミド3種の化学構造。報道発表資料から)

関連資料:論文「Oryzaceramides A–C, acylated glucosylceramides with epidermal barrier functions, isolated from rice bran」(外部サイトへ)

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