1. HOME
  2. 健康食品
  3. 東洋新薬、2期連続増収 新たな成長加速エンジンに「One to One ODM」

東洋新薬、2期連続増収 新たな成長加速エンジンに「One to One ODM」

 健康食品や化粧品の受託開発・製造を行う㈱東洋新薬(服部利光社長)の2025年9月期業績が11月末までに公表された。売上高は323億5,000万円(グループ売上高)。前年同期比は5%(16.6億円)の増加となり、2期連続で増収した(利益は非公表)。

 過去最高売り上げを目指す今期は、新しいコーポレートメッセージを打ち出す。「One to One ODM」を掲げ、顧客企業が販売する一つひとつの製品の成長に貢献していく考えだ。

今期、過去最高売上高めざす

 東洋新薬の髙垣欣也取締役副社長(=写真)は12月2日、ウェルネスデイリーニュースの取材に都内で応じ、25年9月期の増収要因をこう語った。

 「基本的には、リピートです。既存のお客様が好調でした。健康食品については機能性表示食品をはじめ、青汁やプロテインが好調でした。特にプロテインは、原材料価格が高騰している中で伸びが顕著です」

 同社は2022年9月期にグループ売上高325億円を計上、過去最高を記録した。しかし翌23年9月期は、市場環境の変化などを受け、10期以上ぶりの減収となり、300億円を割り込んでいた。

 そこから2期連続の増収。3年前の水準までもう一歩、というところまで回復させた。

 「引き続き高い目標を掲げ、22年9月期の水準に戻すことをめざしましたが、目標には届きませんでした。ですが、今期(26年9月期)は目標に届かせ、過去最高の水準以上をめざすつもりです」

「1対1」で顧客と向き合う

 今期から新たなコーポレートメッセージとして、「One to One ODM」を掲げる。顧客企業と「1対1」で向き合いながら、強みとするODM(製品の開発受託および製造受託)に取り組む姿勢を打ち出す。

 「個々のお客様のことをより深く理解し、お客様個別のニーズにしっかりと則し、かつ、オリジナリティが高い。そういうものをご提供していきたいと考えています。

 お客様と一対一で向き合い、そのお客様の定番商品になったり、新しい柱になったりするものをご提供することを目標に取り組んでいく。これまでも取り組んできたことではありますが、今期からは全社で共通認識を持ってより全力を尽くしていきます」

 昨今の健康食品市場は「ヒット商材」が不在。制度施行から10年が経過した機能性表示食品も、革新的なヘルスクレーム(機能性表示)を行う商品を世に出すことは、定義のない「健康維持・増進」の範囲に収まる表示が問われることもあって難しい。そのため、市場全体として「差別化」が困難な状況だ。

 そうした中では、どうしてもプロモーション力や販売手法などが重要視されがちだが、「そればかりではいけない」と髙垣氏。もっと「商品力」に目を向ける必要がある。

 「コモディティを強い商品にすることは難しいですが、当社は独自素材(同社独自の健康食品用の原材料)をいくつも持っています。持っているだけでなく、それをさらに増やそうとしています。

 それに(特定保健用食品の表示許可実績を積み上げた)研究・開発体制がありますから、素材にせよ、製品にせよ、エビデンス(機能性に関する科学的根拠)という付加価値を付けることが出来ます。

 ですから我々は、他では真似できなかったり、真似されにくかったりするものをご提供できる。そうした独自性を、個々のお客様のニーズに則しながら、一つひとつの商品にオリジナリティを付加させられるようにしたい。それが『One to One ODM』です」

シーズの創出、生成AIの活用も

 個々の顧客の考えや姿勢を深く理解し、個々の顧客のニーズに則した独自性のある製品を開発し、発売後も、研究開発体制を生かして付加価値を創出し続ける──同社は現在、そうしたことに取り組み始めている。

 ただ、それを実現させるためには、顧客企業各社の個別のニーズに応えるためのシーズを用意する必要がある。それが足りなければ、素材的にも技術的にも差がない製品を、異なる顧客に提案することになる。

 「そのとおりです。シーズの量と質の両方が求められます。キャパシティの制約もある中で、それをどう効率的に創出していくか。生成AIの活用も1つの手段になると思っています」

 同社は今期、生成AI活用への投資を実行する方針だ。すでに製造分野では、自動化の一環としてパッケージ外観検査への生成AI活用などに取り組んでおり、それを今後、営業や研究開発の分野にまで広げていく考え。いずれ全社的に導入し、「業界で最も生成AIの活用が進んだ会社にしたい」と髙垣氏は話す。

健康食品の品質確保に向けてギアを高める

 主力の健康食品に関しては今年(2025年)、受託製造企業に特化した業界団体、(一社)日本健康食品工業会(野々垣孝彦会長)が発足。同社も役員企業(副会長)に名を連ねる。

 昨年、そして今年と立て続けに、健康食品業界は品質に関わる課題に直面した。そうした中で、同社としても製品の品質確保・保証に一層の力を注いでいく方針。特に、多くの受託製造企業が「チャレンジ」だと感じている、原材料の受け入れをはじめとする品質管理に力を入れたい考えだ。髙垣氏は取材にこう語った。

 「お客様、そして消費者に対する我々の責任を果たすために、我々の独自素材からそうではないものまで、原材料の選定や調達から受け入れまでの品質確認をより徹底していく必要があると考えています。

 当社は素材開発企業の側面もあります。ですから、原材料の安全性の確認から分析までを行う体制とノウハウがある。 原材料メーカーなどと連携しながら、原材料を工場に受け入れる際の品質確認体制を構築し、業界や社会に良い影響を与えられるようなことができればと思っています」

【石川太郎】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:佐賀県鳥栖市弥生が丘7-28(本部・鳥栖工場)
TEL: 0942-81-3555(本部)
URL: https://www.toyoshinyaku.co.jp
事業内容:健康食品・化粧品(医薬部外品)・MG(健康・美容器具)・医薬品の受託製造

関連記事
サプリ製造の現場から~東洋新薬インテリジェンスパーク~
健康食品 Inside Out 大麦若葉青汁ができるまで
受託メーカーなりの「物流問題」対策 東洋新薬、小型化と省人化でコスト削減図る
東洋新薬副社長が語る業績と展望 業界揺れた24年、個社としてどう乗り越える?

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ