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東大のCBD講座巡り訴訟勃発 JCAと中団連、接待強要・講座閉鎖で教授と大学を提訴

 CBDの皮膚美容研究を東京大学の社会連携講座で行っていた「臨床カンナビノイド講座学」が突然閉鎖されたことを巡り、(一社)日本化粧品協会(JCA、引地功一代表理事)と(一社)日本中小企業団体連盟(中団連、中村賢吾理事長)はきのう16日、東京大学と研究の中心的人物だった同大の佐藤伸一教授、吉崎歩准教授の2人を相手取り、東京地方裁判所に損害賠償訴訟を提起した。

高額接待や恐喝発言、研究契約打ち切りで混迷

 請求内容は、同講座の設置契約および共同研究契約の存続の確認、一方的に講座を閉鎖されたために生じた機械の購入費用や教授らに費消した高額な接待交際費など総額約4,200万円の損害賠償を求めるもの。

 日本化粧品協会の引地代表理事と代理人の高安聡弁護士(ノースブルー総合法律事務所)は提訴後、裁判所内の司法記者クラブで会見し、提訴に至る経緯とその中身について詳細に語った。訴訟の背景には、高額接待の強要や教授らの恐喝まがいの金銭要求、研究契約の破棄や不当行為など一連のトラブルがある。

教授らによる度重なる接待強要

 両教授は共同研究契約の締結前後から、協会に対して週2回ペースの高級レストランやクラブでの接待や遊興を要求。加えて、23年8月には「講座を潰す」、「社会的に抹殺する」などと脅迫し、1,500万円(後に1300万円に減額)を要求したとされる。

 会見に臨んだ引地代表理事は、「研究の進展と成果のため、当初は協力せざるを得なかった」と述べた一方、「当初の接待は食事や歓談が主だったが、次第に風俗的な接待にエスカレートし、月額32万円超の負担が発生していた」と証言した。

東大側の説明なき対応に「交渉断絶」と非難

 問題となった研究は、健康寿命延伸や抗老化を目的としたカンナビノイド(CBD)の応用研究。代理人によれば、協会側は東京大学との共同研究講座に対して2,950万円の研究費用などの支払い契約を締結していたが、教授らの不適切行為を告発後、大学側が一方的に契約解除を通告してきたという。
 その理由の1つが、同研究費の未払いにあったものの、これについては研究の成果物に対する補助金を当てにしており、佐藤教授も支払いを保証していたという。教授らのサボタージュにより研究が進まなければ補助金も下りない。一方的な東大側の通告に抗議したものの、なしのつぶてで交渉ベースの話ができなくなり、もう手の施しようがなくなったとしている。

 協会はこれに対し、「教授らの不当要求により多額の接待費を支出させられた分、必要のない機器を買わされた費用分などを債権として相殺済みとし、債務は残っていない」と反論。しかしそれを無視して退去を求め続ける東大側の対応に対し、「契約の解除は不当であり、かつ研究室の強制退去や鍵の取り替えなどによって研究者の私物も取り出せなくなっている」現状を説明し、東大側の不誠実な姿勢を批判した。

 協会は東京大学のコンプライアンス委員会および警察にも通報したが、大学からは実質的な対応がない。警察は、恐喝未遂事件として受理したが、接待強要については贈収賄事件として捜査に入ったと説明。
 また、大学から派遣された弁護士に対する問い合わせにも一切回答がなく、「事実上、交渉も対話も断絶されていた」と協会側は語る。

「研究は社会的意義が大きい」再開を強く要望

 協会側の弁護士である高安聡氏は、「今回の訴訟は、共同研究を口実とした不当な金銭要求や高圧的行為の是正を求めるとともに、研究の再開に道を開くためのものである」と強調。引地氏も、研究そのものの社会的意義は大きく、若手研究者による成果を守る必要があるとした。

提訴に至った経緯を説明する高安聡弁護士(右)と引地氏

 協会側は、「私の判断ミスや反省すべき点はあるが、研究は止めるべきではない。担当者の交代を前提とした研究再開を強く望んでいる」と語った。

 提訴を受け、東京大学および被告教授らの対応が今後の焦点となる。今回の訴えが真実だとすれば、研究成果と資金の透明性が問われる昨今、説明責任を求められる最高学府のガバナンスが社会的に注視されることは避けられない。(一社)日本化粧品協会の配布資料を基に、一連のトラブルを分かる範囲で時系列にまとめた(⇒つづきは会員専用記事閲覧ページへ)

【田代 宏】

(冒頭の写真:引地功一代表理事)

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