消費者庁、大正製薬に措置命令 【動画公開】11月13日の記者会見アーカイブ
今月13日、消費者庁は大正製薬㈱(東京都豊島区、上原茂社長)のサプリメントの広告に対して、初となるステマ規制(景表法第5条3号告示)に基づく措置命令を出した。法第5条1号「優良誤認」、同2号「有利誤認」における認定はないため、課徴金納付命令の対象からは外れる(景表法第8条1項)。
ウェルネスニュースグループ(東京都港区)では、処分発表当日のアーカイブ動画をYouTubeチャンネル「ウェルネスデイリーニュース」で公開している。発表者は消費者庁表示対策課 上席景品・表示調査官の高橋佑美子氏。動画では、同庁による発表から記者による質疑まで収録している。
大正製薬は自社ウェブサイトで、今回の措置命令について「厳粛かつ真摯に受け止め、今後、従業員に対し研修を実施し、また広告掲載前の社内確認を徹底する等の広告管理体制をより一層強化し、再発防止に努めてまいります」と反省しながらも、「表示の経緯」を説明している。
そこには、「当社は、インフルエンサーに対して本商品の無償提供及び対価の提供を条件に本商品に関する投稿を依頼し、2023年6月にインフルエンサーによるSNSへの投稿がなされました。当該投稿につきましては、一般生活者が当社の広告であることを判別できるように「#PR」等の表示をしておりました。その後、当社は当該インフルエンサーの投稿の一部を抜粋し、自社ウェブサイトに表示しました。その際、自社ウェブサイト上に表示しているものであることから、一般生活者においては、インフルエンサーの投稿部分についても当社の広告であることが判別できると考え、その投稿に表示されていた当社の広告である旨を表示せずに」表示していたと述べている。
【解 説】
今回の措置命令については、かつて消費者庁で訟務担当の法規専門官を務めた経歴を持つ弁護士からも厳し過ぎるのではないかとの声が上がっており、適切なステマ規制の運用が求められている。確かに記者会見でも、当局の対応は歯切れが悪い。出席した媒体各社の記者も、質問を整理し切れていないように見える。
さすがに大手製薬メーカーへの措置命令ということで、強烈なメッセージ性を放ってはいるものの、類似の表示を行っていて、かつ悪質性の高い事業者は他にもかなりの数に上るのではないかと考え得る。先のステマ規制で処分を受けたRIZAPの場合は、優良誤認表示(第5条1号)も認定されているが、果たして今後、ステマ規制はどのような方向へ向かうのだろうか・・・【田代 宏】
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