ノコギリヤシ広告差止請求訴訟が決着 最高裁、適格消費者団体の上告棄却
ノコギリヤシ果実エキスを配合した健康食品の新聞広告の内容が景品表示法違反(優良誤認)に当たるなどとして、適格消費者団体が健康食品通販会社を相手取り、広告表示差止請求訴訟を起こした事件で、最高裁の第一小法廷(安浪亮介裁判長)はこのほど、原告の適格消費者団体の上告を棄却、原告の主張を全面的に退けた一審判決を支持する高裁判決が確定した。最高裁の決定は先月24日付。
健康食品通販のインシップ、「勝訴確定」を宣言
この訴訟は、適格消費者団体の(特非)消費者ネットおかやま(岡山市北区、河田英正理事長)が、健康食品通販会社の㈱インシップ(千葉県浦安市、小野伸二郎社長)を相手取り、2020年2月に提起していた。
原告のネットおかやまは一審で、インシップが出稿した新聞広告の内容は、医薬品ではない健康食品について、頻尿改善の医薬品的効能効果を表示していることから優良誤認に当たるなどと主張。また、医薬品との誤認を与えないのだとしても頻尿改善効果があると一般消費者を誤認させるなどと主張し、広告差止を訴えていた。これに対してインシップは、ノコギリヤシ果実エキスの頻尿改善機能に関する臨床試験結果を示すなどしながら反論していた。
ネットおかやまは、主張が全面的に退けられた岡山地裁の一審判決を受け、判決の取消などを求めて広島高裁に控訴するも棄却。「原判決は相当」だと高裁に判断された。
最高裁の決定を受けてインシップは今月12日までに「勝訴確定」を宣言。ネットおかやまは取材に、「内部でじっくり検討する」(事務局)などと答えた。インシップが公表した最高裁の決定調書によれば、5人の裁判官全員が上告棄却の意見で一致。原告が示した上告理由は、民事訴訟法の上告規定に該当しないと判断している。上告受理申し立てについても退けた。
インシップは最高裁決定を受け、ホームページに「コメント」を掲載。「主張の正当性が認められた。適格消費者団体『特定非営利活動法人 消費者ネットおかやま』による法律を逸脱した不正請求が退けられたことにより、今後は適格消費者団体『特定非営利活動法人 消費者ネットおかやま』代表者理事河田英正氏ほか理事の刑事的責任および民事的責任を追及していく」などとしている。
【石川太郎】
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