機能性表示食品買上調査、2品に不備 機能性関与成分含有量、届出の値を下回る
消費者庁が2023年度実施した、市場に流通している機能性表示食品の買上調査の結果、機能性関与成分の含有量が届出や容器包装表示の値を下回っていた商品が2品目、確認された。いずれも現在までに販売が中止されるとともに届出が撤回されている。同庁が7日公表した。商品名や届出者名のほか、含有量がどの程度下回っていたのか、どのような形状の商品であったのかなど、個別具体的な情報は非公表。
消費者庁長官、品質管理の徹底求める
消費者庁の新井ゆたか長官は、同日行った定例会見で、品質管理の徹底を事業者に求めた。品質管理の不徹底などで、商品中の機能性関与成分含量が届出を下回っていた場合、臨床試験やシステマティックレビューで確認、報告された機能性を期待できない蓋然性が高まる。22年度、21年度の買上調査でも、含有量が届出を下回る商品が確認されていた。
同庁は、品質管理の質向上、商品の適正な表示による消費者への情報提供が行われることを目的に、機能性表示食品の買上調査を毎年度実施。届け出された分析方法に従い、機能性関与成分含有量を分析する。来年度以降の買上調査では、小林製薬「紅麹サプリ」をめぐる健康被害問題で損なわれた機能性表示食品制度に対する信頼性を高めるために、機能性表示食品を中心とする買上調査の対象件数を従来比10倍の1,000件程度に増やす方針だ。
消費者庁の発表によれば、23年度は、機能性表示食品84商品を対象に買上調査を実施。その結果2商品の機能性関与成分含有量が届出を下回っていたという。うち1商品は、製造時、または原材料中の機能性関与成分含量は届出のとおりであったものの、「喫食時の状態」での含有量が下回っていたという。調理したり、抽出したり、消費者自身で手を加えて喫食するタイプの加工食品だったとみられる。
同庁は買上調査との関連をコメントしていないが、静岡県が今年9月、機能性関与成分含有量が届出や表示の値を下回っていたとして、ティーバッグ形状の機能性表示食品を販売していた県内企業に対し、食品表示法に基づく改善指示を行っていた。
もう1商品は、買上調査で機能性関与成分含有量が届出を下回っている事実が確認された後、当該商品の届出者が第三者分析機関で同一ロット品を改めて分析したところ、届出の量を「上回っていた」という真逆の分析結果が出た事案だった。この商品も、サプリメントなどの加工食品とみられ、機能性関与成分のいわゆる「増し仕込み」を行っていたものの、商品の保管状況や流通環境などの影響を受けて、商品中の機能性関与成分含量が想定以上に減衰した可能性が考えられる。
なお、23年度の買上調査でも、機能性表示食品の他に、特別用途食品の栄養成分等、特定保健用食品の関与成分の含量が申請のとおりであるかが調べられた。調査対象件数は特別用途食品が2商品、特定保健用食品が15商品。いずれも申請のとおりだったという。
【石川太郎】
関連記事:機能性表示食品で初の改善指示 機能性関与成分含量が届出量に満たず
:消費者庁長官、品質管理の徹底求める 22年度買上調査結果受けて
:21年度買上調査結果、サプリ1品で機能性関与成分含有量が届出に満たず