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新・サビンサ、経営トップの視点 新会長と新CEOにインタビュー

 インド南部のベンガルール市に製造・研究開発拠点、米国ニュージャージー州にマーケティング本部をそれぞれ置き、植物抽出物を中心にサプリメント原材料をグローバルに供給するサミ‐サビンサグループ(SAMI-SABINSA GROUP Ltd)。法人(㈱サビンサジャパンコーポレーション)を置く日本の健康食品市場にも同社製品が多く流通されている。

 同グループは今年4月に経営体制が大きく変わった。創業者でありチェアマン(会長)兼CEO(最高経営責任者)の死去に伴い直系親族2人が新会長、新CEOにそれぞれ就任。父親が築いた土台の上に、「新・サビンサ(New SAMI-SABINSA GROUP)」を作り上げようとしている。

 先月下旬、都内で開催された展示会に合わせて新会長と新CEOがそろって来日。日本の顧客らと交流しつつ、ウェルネスニュースグループなど業界専門メディアの取材に答えた。主な一問一答は次のとおり。

顧客の求める品質を追求する

──新体制の経営方針について。

アンジュ・マジード(会長。以下、アンジュ) 私たちが一番大切にしているのはクオリティです。価格では決してない。私たちの製品に用いる原料(ロー・マテリアル)の選別から、製品の製造工程、品質管理、出荷に至るまで、顧客の要求するクオリティを追求し、それを実現し、顧客に満足してもらうことを一番大切にします。

シャヒーン・マジード(グローバルマネージングディレクター兼CEO。以下、シャヒーン) 父は自分の会社の経営に厳格で情熱的でした。自分が信じることを、情熱をもって、徹底的にやり切る。この先、私たちがやることに対して、色んな人が色んな意見を言ってくるのだと思いますが、それに対して私たちは、自分たちの信じることを決してとめず、情熱をもってやり切らなければならない。そうしたことを父から教わりました。

──日本で今年生じたサプリメントの摂取による大規模な健康被害に対してコメントを。

アンジュ 原材料製造時の異物混入が原因と聞いていますが、2つのポイントがあると思います。まず、原料の選別に問題がなかったか。その原料が持つ性質を正しく理解し、リスクを排除できていたのかどうか。次に、製品(サプリメントの原材料)の製造工程に問題はなかったか。さまざまなパラメーターをモニタリングしながら製造されていたのかどうか。つまり、製造工程がGMPで管理されていたのかどうかということ。健康被害につながるような品質の問題を防ぐためには、原料の選別から製造工程まで全てをコントロールできていることが大切です。私たちはしっかり取り組んでいます。

透明性とコミュニケーションを大切に

──健康被害問題を受け、サプリメントの原材料の品質に対する日本の要求がさらに高まる可能性があります。対応できますか?

アンジュ 答えは「イエス」。責任あるサプライヤーは、出荷までの全てのプロセスを正しく理解しています。植物の栽培から製品の製造工程、品質管理、出荷までは様ざまなプロセスを踏みますが、私たちはその全てを正しく理解している。だから全てをトレースすることもできる。顧客から何かを尋ねられた時、私たちは全ての問いに答えられるようにしています。

シャヒーン トレーサビリティは重要です。そのうえで、サプライチェーン全体において透明性を維持すること、そしてコミュニケ―ションを絶やさないこと。GMPに基づき製造するということは、それらにもしっかり取り組むことであると思います。顧客とのパートナーシップのベースに、透明性やコミュニケーションなどに基づく信頼ではなく価格を置いてしまうと、そこが損なわれてしまう。憶測ですが、日本で今回生じた問題の背景にはそうしたことがあったのではないでしょうか。

 日本の顧客は私たちにとって有り難い存在です。他の国の顧客と比べてクオリティに対する要求が非常にシビアだからです。工場などの監査も頻繁も受けています。そうした場で、様ざまなことを教えていただいているし、逆に、私たちが伝えていることもあるでしょう。そのようにしたお互いにレベルアップしていけるのが理想的なパートナーシップです。コミュニケーションを深めるために、私たちは常に門戸を開いています。日本の事業者だけでなく消費者にも、私たちの栽培農場、工場、研究施設をぜひご覧になっていただきたいと思います。

全てのステークホルダーが安心して渡れる「橋」作る

──経営体制が刷新された新しいサビンサは、以前のサビンサとどこが違いますか?

アンジュ 私たちのサプライチェーン全体をより強化していきたい。個々の栽培農家、栽培地域の事情を踏まえ、サステナビリティを確保しながら、原料の調達能力をさらに強固する必要があると考えています。そのようにして安定供給体制を最大化していきます。

シャヒーン 父は36年前にサビンサを米国で創業しました。今で言う、起業家です。良い人びとにも恵まれ、会社を大きくすることができました。ただ、その過程は、成長途上の組織の多くがそうだと思うのですが、どこか混沌としていました。それをコントールできる能力を父は持っていたということ。ですが、私たち次の世代が追い求めるのは、そうした能力ではなく、ストラクチャーです。私たちの従業員、私たちの顧客、私たちの製品の原料を供給してくれる栽培農家など、私たちに関わる全ての人々が安心して渡ることのできる「橋」を作っていきます。

──ありがとうございました。

【聞き手・文:石川太郎】

<プロフィール>
アンジュ・マジード:微生物学博士。印バーラットヒダサン大学で取得。米ラトガース大学で微生物学及び分子遺伝学の学士及び修士、米ジョンズ・ホプキンス大学で生物科学の修士の過程をそれぞれ修了。新製品の研究開発、製造プロセスの改善などに関わる。

シャヒーン・マジード:25年にわたりサミ‐サビンサグループに関わる。営業、サプライチェーン・マネジメント、製造、法規制遵守、グローバル・マーケティングなど様ざまな職務を歴任。ワールドワイド・プレジデントも4年間務めた。

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