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1日2粒で効果期待の新・関節ケア成分 【機能性表示食品特集】オムニカが開発、持続型社会にも貢献

 機能性表示食品のうち、関節ケア領域に展開できる植物由来の新規素材を、植物抽出物メーカー国内大手の㈱オムニカ(高尾久貴社長)が開発、届出実績を作った上で、6月から最終製品販売会社に対する届出サポートを開始した。この記事では、1日2粒程度の少量摂取で有効性が期待でき、消費者に優しい関節ケア機能性表示食品の開発につなげることのできるオムニカ裾野工場発の新規素材と、その原料となるアフリカ・ナミビア産の植物を見ていく。

ナミビア産「悪魔の爪」を機能性表示食品に

 オムニカが新たに開発したのは、主に抗炎症機能を訴求する医薬品(生薬)の原料としてヨーロッパで50年以上にわたり使われてきた歴史がある植物、デビルズクロー(Devil‘s Claw、学名:Harpagophytum procumbens、Harpagopthytum zeyheri)塊根の抽出物。最新鋭の抽出プラントや精製設備のほか分析機器類などを導入した、同社の研究開発および生産拠点である裾野工場で製造・品質管理を手掛ける。

 デビルズクロー塊根に含まれる有効成分、ハルパゴシドをターゲットに抽出・高純度精製し、含有量13%以上で規格した製品を開発した。これまでに流通されてきたデビルズクロー塊根抽出物では、含有量にバラつきのあった同有効成分を高濃度、かつ、安定的に含有させられる抽出・精製技術を新たに開発した点がポイントだ。これにより、1日あたり有効摂取量について、ハルパゴシドとして27ミリグラム、デビルズクロー抽出物としては210ミリグラムと、関節ケアのサプリメント素材としては顕著に少ない量に抑えられるようにした。

 1日2粒。同社が開発したハルパゴシドを13%以上含むデビルズクロー抽出物を含む食品(カプセル)について、ひざ関節に対する機能性、有効性を検証した中高年男女40人(日本人)にしたヒト試験(RCT)では、そのように少ない摂取粒数であっても、ひざを曲げ伸ばししたときのひざの違和感に関し、プラセボ群との比較で有意な改善が見られた(論文:薬理と治療,Vol.48,2020)。被験者アンケートによるスコア評価(=JKOM評価)を指標に有効性を検証したもので、被験者は一定の体感性を得られたことになる。

 こうしたエビデンス(科学的根拠)を踏まえ、同社で実施した研究レビューに基づき、デビルズクロー由来ハルパゴシドを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出が初めて公開されたのは今年5月下旬。届出されたヘルスクレームは以下のとおり。

 「本品にはデビルズクロー由来ハルパゴシドが含まれています。デビルズクロー由来ハルパゴシドには、膝に違和感を持つ方の日常生活における膝を曲げ伸ばし時に生じる違和感を軽減する機能が報告されています」。

 関節ケア領域に展開できる機能性表示食品の機能性関与成分として、植物を基原にした成分は、今のところ同成分を含めて片手で数えられる程度しか存在しない。

欧州で始まった産業利用 しっかり鍛えられてきた歴史

 日本語では「悪魔の爪」、またの名は「ライオンゴロシ」──そのようにインパクトのある名称を与えられたデビルズクローは、アフリカ南西部の砂漠地帯を原産とする多年草植物。日本の食薬区分においてはその全草(当該植物の全ての部分)が「非医薬」リストに収載されており、以前からその粉末などを配合した健康食品が一部で販売されていた。それが今回、オムニカの研究開発を通じて機能性表示食品のステージに初めて引き上げられたことになる。

 一方、ドイツをはじめとするフランスなどヨーロッパ諸国ではその塊根を、1960年頃から抗炎症機能を期待できる生薬の1つとして有効利用してきた。もとをたどれば、原産地の原住民らが100年以上前から民間療法薬としてその塊根を煎じて摂取していたとされる。

 デビルズクローの産業利用は医薬品から始まった。国際連合食糧農業機関(FAO)が2003年にまとめたレポートによれば、ドイツの医薬品市場におけるデビルズクローを使った生薬製剤の流通品目数は50以上に上る。オムニカによると、そうした生薬としてのデビルズクロー塊根の主要な原料供給国としての役割を担うのは、主にアフリカ南西部に位置するナミビアだ。安定的に供給するため、計画的な管理栽培を行う地域があり、収穫量も少なくなくない。やや古いデータだが、12年には約540トンが輸出されたとする現地NGOのレポートがある。

 同社が製造する機能性表示食品向けデビルズクロー抽出物の原料も、ナミビアから調達するデビルズクロー塊根を選択的に使用する。「医薬品の基原原料として長年管理されてきた歴史がある。製品数の多いドイツでは、不良な原料を排除することを目的にした公的な指図書を取りまとめ、品質をしっかり管理した上で、医薬品として使用してきた。つまり、鍛えられてきた素材であるということ」(高尾久貴社長)が理由だ。

 鍛えられてきた面は他にもある。同社によるとデビルズクロー塊根中の抗炎症機能を有す成分は、イリドイド配糖体の一種、ハルパゴシドであることが解明されている。その塊根中に含まれるイリドイド配糖体は複数種類あるが、ハルパゴシドを高濃度に含む画分に、炎症を誘導するシクロオキシゲナーゼ (COX) -1 及び 2 の活性を阻害する作用のあることが分かっている。

 それは、比較的近年になってから欧州で行われた研究で確認、報告されたもので、「単離・精製技術および分析技術の発展に伴うもの」だと同社の高尾社長は指摘。また、ハルパゴシドの体内動態も近年の研究で解明されつつあるといい、「ヨーロッパでの医薬品としての実績というよりも、有効性と関与成分と作用機序に加え、体内動態まで検証、評価されてきた背景を持つところがデビルズクローとハルパゴシドの優れた点。科学的にもしっかりとしたトレーニングを受けてきた素材だということ」(同)だとする。

機能性表示食品通じて循環型経済の実現貢献へ

 こうしたバックグラウンドを持つデビルズクローおよびハルパゴシドに同社は改めて注目。欧州で流通しているデビルズクローを使った生薬製剤では、ハルパゴシドの含有率が製品ごとに異なり、その割合も低いため(1~4%前後)、グラム単位で摂取する必要があったが、工場の最新設備を生かした抽出精製技術を通じ、同成分を13%以上含む高濃度製品を開発。その上でヒト試験を実施し、ひざ関節に対応する有効性と体内動態を検証した。今後、それと同一の製品を毎ロット、緻密な分析と地道な品質管理を繰り返しながら製造し、機能性表示食品市場を通じて消費者へ提供していく。

 「欧州諸国における医薬品としての商業利用は、ナミビアの農業従事者らの生活を長年支えてきた。デビルズクローという価値のある植物資源を通じて貧困を解決するという循環型経済が欧州とナミビアの間で回っている。その輪の中に、科学的根拠に基づくハルパゴシドを有効活用した機能性表示食品を通じて私たち日本も入っていくことなる。持続型社会の実現の貢献に向けた成功事例として提案していきたい」。オムニカの高尾社長はそう話している。

(冒頭の画像:デビルズクローの収穫作業を行うナミビアの人たち。オムニカ提供、Lee Hewiston博士撮影)

COMPANY IMFORMATION
所在地:静岡県裾野市今里492-1(本社・工場)
TEL:055-957-5030
URL:https://www.omnica.co.jp/
事業内容:機能性食品の原材料製造及び製品受託製造

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