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食糧危機、日本の自給率について議論 めざす会、第3回情報交換会開催

 世界の食糧はどうなるのか? 食の信頼向上をめざす会(唐木英明代表)は26日、第3回情報交換会をオンラインで開催した。約60人の関係者が参加した。

 第1部は「世界の穀物供給」と題して、アメリカ穀物協会の浜本哲郎氏が講演。2部では㈱アニマル・メディア社の岩田寛史氏が講演した。

食品の3つの機能とは?

 冒頭、唐木代表は食品が持つ「栄養」、「機能」、「楽しみ」の3つの機能を紹介。経済的に豊かになればなるほど楽しみに向かうベクトルが強くなる。食品の中でも穀物は基本的に人間の食用だが、家畜の飼料にも使われており、今ではバイオ燃料として大量のトウモロコシが利用されている。
 他方、社会課題として「人口爆発」、「飢餓対策」、「環境破壊」、「畜産拡大」が問題視される中、「新型コロナ」、「ウクライナ戦争」、「エネルギー危機」、「穀物供給をめぐる価格変動」、「食糧安保」などの諸問題に直面している。
 食糧問題とは何か、人口爆発が起きたら飢えずに暮らしていけるのか、飢餓対策を講じるとしても、農業の生産性を向上しようとすれば環境破壊が起きないか。
 また、穀物の非常に多くの部分を家畜が食べてしまう。そうすると、どのような問題が起きるのか? 新型コロナの問題、ウクライナの問題、エネルギー危機の問題、結果、穀物の供給が下がって価格が上がるという問題も。日本の食糧自給率は下がる一方だが、こういうさまざまな問題が降りかかる中、現状とその対策についてみんなで考えたいと問題提起した。

世界の穀物は足りている?

 浜本哲郎氏は、穀物の中でも年間12.2億トンと最も生産量が多いトウモロコシがどのような用途に利用されているか、1人当たりの供給量は将来的に足りるか、供給量や価格に影響を及ぼす要因、需給バランスなどについて突きつけられている課題を述べた。
 同氏は、「世界の穀物は足りないのではなく、分配の問題」(日本国際飢餓対策機構)、「穀物を原料としたバイオエタノールの生産をやめ、その分の穀物を食用に使い、バイオエタノール向けに使われた耕地の一部を小麦生産に切り替えれば、食糧危機は大きく軽減される」(農中総研アンウェイ氏)などの言を引き、世界の食糧危機解決の糸口を探った。
 また、我が国の食糧自給率について、カロリーベースで38%、飼料自給率は25%と紹介。農業・畜産は儲かるのか?飼料の自給に舵を切れるのか?と問題提起。農産物や畜産物の適正価格や価格決定権者などについて考える必要性を論じた。

飼料の国産化は難しい?

 岩田寛史氏は、中国では世界の半分に当たる5億頭の豚を飼育し食べているとし、中国の豚市場が世界のトウモロコシ需給に重大な影響を与えている実態を紹介。国内畜産の輸入飼料への依存率が高い点について、突きつけられている課題と解決策を述べた。
 同氏は、食肉の供給について、「資料の確保」、「コスト削減」、「SDGs対応」は国民のこれからの生活や生き方の選択に伴い方向づけされる問題だとし、業界としては「資料要求率の改善と強化」、「育種改良の可能性と飼養管理の向上」が課題だと説明。さらに飼料の国産化の難しさについても言及した。

 聴講者からは、日本の食糧自給率が上がらない理由、日本の農家が飼料用トウモロコシを栽培しない理由、コメ農家がGM飼料用米を作る可能性など、多くの質問が寄せられた。

【田代 宏】

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