食料システム法パブコメ結果公表 取引適正化の枠組み示すも「価格不介入」を明確化
農林水産省はこのほど、「食料システム法」に基づく3つの制度文書について実施したパブリックコメントの結果を相次いで公表した(2025年12月6日~26年1月4日実施)。
対象となったのは、①同法施行規則の一部を改正する省令案、②食品等の取引の適正化に関する基本的な方針案、③指導・助言並びに勧告・公表の指針案――で、いずれも今年4月1日の施行を予定している。
食料システム法とは、食品の生産から販売までの取引を適正化し、将来にわたって食料を安定的に供給することを目的とした法律。肥料や物流、人件費の上昇が続く一方、取引価格にコストが十分反映されにくい状況が長く続いてきたという問題意識が背景にある。ただし、国が価格を決める法律ではなく、取引価格はあくまで当事者間の協議によって決定される点が特徴だ。
協議義務の明確化に懸念も
今回の省令改正案では、取引条件に関する協議の申出があった場合に、食品事業者が速やか、かつ誠実に対応すべきであることなどが、努力義務の判断基準として明確化された。
これに対し、協議が形式化するのではないか、事務負担が過度になるのではないかといった懸念が示されている。
農水省は、協議記録の作成や保存を義務付けるものではないとしつつ、基本方針においては、認識の齟齬を防ぐ観点から記録作成が望ましいと整理した。
また、米や野菜、豆腐、納豆、飲用牛乳を「指定飲食料品等」とする点についても意見が寄せられた。特に野菜については、範囲が広すぎるとの指摘があったが、農水省は鮮度劣化が早く価格交渉が行われにくい特性を踏まえ、包括的な指定が合理的だと説明している。
行政裁量とコスト指標が焦点に
基本的な方針案や指針案に対するパブコメでは、行政裁量のあり方が大きな論点となった。
指導や勧告、公表といった措置の発動基準が抽象的で、恣意的な運用につながるのではないかとの懸念が示された。
これに対し農水省は、取引形態が多様である以上、一律の数値基準は設けられないとした上で、行政指導指針やQ&Aなどを通じて運用の透明化を図るとした。
さらに、コスト指標の位置付けについても議論が集中した。指標が事実上の価格基準になるのではないかとの声に対し、農水省は「指標は持続的な供給に要する費用を説明するための参考であり、価格決定を拘束するものではない」と説明している。ただし、合理的根拠として尊重されるべきものとの位置付けは維持された。
3つのパブリックコメント結果を通じて浮かび上がるのは、農水省が一貫して「価格を決めない」姿勢を崩さなかった点だ。その一方で、協議の申出を無視する、あるいは協議を理由に不利益な取扱いを行うといった行為については、問題として判断し得る枠組みを明確にしようとしている。
※各パブコメは以下のとおり(e-GOVより)
「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案についての意見・情報の募集」の結果について(550004217)
「食品等の持続的な供給を実現するための食品等の取引の適正化に関する基本的な方針(案)についての意見・情報の募集」の結果について(550004218)
「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律に基づく指導及び助言並びに勧告及び公表の指針(案)についての意見・情報の募集」の結果について(550004219)











