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食品表示懇談会に元Gメンがコメント 「多様な視点からの意見、活発な議論に期待」(中村氏)

 コーデックスにおける国際ルール作りに向けた議論、食品衛生基準行政の消費者庁への移管に備えた食品表示の見直しに備えるかたちで消費者庁は13日、第1回「食品表示懇談会」を開催した。今回、検討会ではなく懇談会として、中長期的な視点を据えて「学識経験者、消費者、関連事業者から幅広い意見を求める」とする消費者庁。早くから同会の開催を予告していた元農林水産省の幹部で、食品表示Gメンも務めた中村啓一氏の見解をまとめた。

 13日、消費者庁は「第1回令和5年度食品表示懇談会(座長、湯川剛一郎氏・一般社団法人食品表示検定協会理事長)」を開催した。
 懇談会は学識経験者、消費者・業界関係者など15名で構成され、今後の食品表示が目指していく方向性について、2023年度末を目途に取りまとめるとしている。

 会議冒頭の挨拶で新井ゆたか消費者庁長官は、容器包装以外のデジタルツールを使った情報提供、食品衛生基準行政の消費者庁への移管、コーデックス等国際基準との整合性等を背景に、懇談会は個別の問題ではなく、食品表示の在り方について羅針盤となる方向性を議論する場と強調した。

 食品表示については、6月の「経済財政運営と改革の基本方針」で「食品表示基準の国際基準への整合化を推進する」方針を決定、、施策パッケージを年末までに策定するとされた。
 また、消費者基本計画は「消費者にとって見づらい等の食品表示における課題を解決し、分かりやすく活用される食品表示とする」ための検討を行うとしており、6月に決定された「消費者基本計画工程表」で「食料供給のグローバル化の進展を踏まえ、合理的かつシンプルで分かりやすい食品表示制度の在り方について、国際基準(コーデックス規格)との整合性も踏まえながら、有識者から成る懇談会において順次議論していく」としていた。

 懇談会では、消費者庁から食品表示制度一元化以降の検討経過、コーデックス食品表示部会の議論、国内におけるデジタルツールの活用についての検討状況等について説明があった。デジタルツールの活用についてはコーデックスの議論が進んでおり、早ければ2025年11月の総会で「食品表示情報の提供へのテクノロジーの使用に関するガイドライン」が策定される可能性があるとした。

 委員からは、多岐にわたるテーマに年度内に取りまとめられるか懸念する意見や、専門家による専門的な議論の場の必要性を求める意見、さらには一元化以降の度重なる表示ルールの変更について、事業者、特に中小の事業者の負担が大きいとされ、改善の要望もあった。
 単年度主義の行政としては、23年度とした懇談会の成果を年度内に取りまとめる必要があるのだろうが、来年度も継続する可能性も示唆されるなど、今ひとつ出口が見えづらい懇談会となった。
 他方、結論ありきの検討会とは異なり、食品表示の方向について多様な視点からの意見や活発な議論も期待され、今後の動向を注視したい。
 懇談会は年度内にあと3回の会合を予定しており、次回11月24日の会合では海外諸国の食品表示制度との比較や現状を紹介するとしている。 

<中村啓一氏プロフィール>
1968年農林水産省入省。その後、近畿農政局 企画調整部 消費生活課長、消費・安全局 表示・規格課 食品表示・規格監視室長、総合食料局 食糧部 消費流通課長などを経て2011年に退官。著書:『食品偽装・起こさないためのケーススタディ』共著(ぎょうせい)2008年、『食品偽装との闘い』(文芸社)2012年など。

第1回「令和5年度食品表示懇談会関係資料」(消費者庁HPより)
関連記事:食品表示ルールの大幅見直しあるか どうなる?「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」

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