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茶のしずく裁判、「暮らしの判例」で 福岡高裁で原料会社の責任を認定(令和2年6月)

 (独)国民生活センター(国セン、山田昭典理事長)は15日、ウェブ版『国民生活』11月号の「暮らしの判例」において、旧「茶のしずく石鹸」裁判を取り上げた。
 同裁判は2004年に販売を開始した㈱悠香(福岡県大野城市、竹田典雄社長)の洗顔石けんを使用した消費者がアナフィラキシー・ショックを発症するなどし、原告団が1,000人を超えた大規模集団訴訟。裁判が始まった12年当時、森永ヒ素ミルク中毒事件と並ぶ社会問題として騒がれた。

 11年7月14日、国民生活センターが「小麦加水分解物を含有する『旧茶のしずく石けん』による危害状況について―アナフィラキシーを発症したケースも―」と題する記者会見を開催、その後、各局の情報番組が取り上げたことで一気に問題が表面化した。

 「暮らしの判例」が取り上げているのは、福岡高等裁判所における令和2年6月25日の判決。訴えられていたのは旧「茶のしずく石鹸」を通信販売で全国に展開し、被害を拡大させた販売元の㈱悠香、石けんの製造を受託していた㈱フェニックス、そして小麦アレルギー被害を起こした成分である加水分解コムギ末「グルパール19S」を製造してフェニックスに納入していた原料会社の㈱片山化学工業研究所の3社。同書では、悠香をアルファベットA、フェニックスをB、片山化学工業研究所をY、そして原告団をXとして解説している。
 
 「XらはA、B に対しては本件石けんの欠陥の存在を、Y に対しては本件原材料の欠陥をそれぞれ主張し、製造物責任法に基づき損害賠償を求めた」(同書)結果、福岡地裁は石けんと原材料の欠陥を認め、「包括的慰謝料を認め、アナフィラキシー・ショック又はこれに準ずる症状を発症したかで慰謝料額に差異を設ける」判決を下した。しかし、一審判決に対してX・Yらがそれぞれ控訴したとしている。

 控訴審では、A、BとXらは和解し、そのほかXらの14人は控訴提起後にYに対する訴えを取り下げたことで、6人のXらとYとの争いとなった。

 解説では、10年9月26日までに販売されていたYが製造した石けんの原材料「グルパール19S」に欠陥があったのかどうかに焦点が絞られた。薬事法(現・薬機法)に基づく当時の規格には適合した製品だった上、当時知り得る科学的知見において、原材料の危険性を予知できたかどうかなどが争点となった。
 2018年2月20日に京都地裁、6月22日に東京地裁で下された判決ではそれぞれ、Yの責任は否定されていた。その根拠となったのが「医薬部外品の汎用的な原材料自体がアレルギー惹起の原因ではなく、完成品である本件石けんの製品設計にあるという議論の余地がある」という指摘だった。

 例えば、東京地裁の判決は、Yの責任について、グルパール19Sを石けんの原材料の1つとして配合したことが「通常予見される使用形態に含まれるとして欠陥の考慮事情の1 つとなる」と認めつつ、グルパール19Sは汎用的な原材料であり、製品設計によればアレルギーを発症させない石けんの製造も可能だった。ダブル洗顔を推奨するなどし、泡の一部が眼球や鼻の粘膜など最も敏感な組織が大量に暴露される結果を招いた石けんの製品設計こそがアレルギー発症の重要な要因になっていると判断し、Yの製造物責任を否定したとされる。

 これに対して福岡高裁は、グルパール19S を洗顔石けんの原材料として使用することは「通常予見される使用形態」であり、その使用により、石けんはアレルギーを引き起こす危険性を備えていた。さらに、洗顔石けんの原材料によって生じるアレルギー被害が社会通念上許容される限度を超えたものであったことなどを指摘し、Yの責任を認定している。原材料製造者であるY にも製造物責任があるとし、6 人の原告に対して、約3 万円から27 万円の損害賠償を認めている。

【田代 宏】

関連記事:旧『茶のしずく』石鹸訴訟終結、回顧ドキュメント『茶のしずく』(茶のしずく事件年表)

(冒頭の画像:国センのHPより加工転載)

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