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総合アミノ酸メーカー商社の向かう先 【創業・設立周年企業】20周年のサンクト、事業多角化へ

 「総合アミノ酸メーカー商社」を看板に掲げる㈱サンクト(宍戸哲夫・今川信雄社長)は今年1月、設立20周年を迎えた。中学時代の同級生でもある宍戸・今川の両社長が30歳を迎える前に設立。以来、「アミノ酸」と「レアメタル」の取り扱いをなりわいに会社を成長させていった。本稿では、同社のアミノ酸事業に着目し、これまでの20年を駆け足でふり返りつつ、この先20年の展望を試みる。

アミノ酸事業、飛躍の理由

 サンクトのアミノ酸事業を振り返るとき外せないのは、2013年の出来事。アミノ酸メーカーが少なくない中国でも「最大規模」と称される新生源社(Shine Star)との間で日本総代理店の権利許諾契約を締結した。同社製の各種アミノ酸の国内販売、さらには日本から米国など海外への輸出を一手に手掛けるようになった。

 業界関係者の間でも知る人ぞ知る存在であったサンクトが、そのように大きな企業と契約できたのはなぜか。「アミノ酸を愛している」と照れもせずに語る宍戸社長の存在が背景にあるのだが、ウェルネスデイリーニュースに記事を掲載済みのため詳細は割愛する。いずれにせよ、中国の大手アミノ酸メーカーとの間で太いパイプを築いたことが、アミノ酸事業が上昇気流に乗る大きな要因となった。

 それだけではない。品質保証体制の構築にも取り組んだ。「価格競争力に優れるだけではダメだ。日本で勝負していくには、日本の企業が要求する品質をともなう必要がある」。そのように考えて社内に品質保証部を開設。日本市場の要求に見合った品質のアミノ酸を製造してもらえるようにするための助言や指導などを直接、行えるようにした。つまりこれがメーカーとの一体化。ここに同社が「メーカー商社」を名乗るゆえんがある。

 品質保証部の人員体制は現在9人。今後の同社を展望するとき、同部の役割は大きくなる一方だと思われる。同社はアミノ酸を核に、事業の領域を、縦や横にどんどん広げているためだ。キーワードは、細胞が分裂していくがごとくの「分裂」(宍戸社長)。

医薬品や飼料の領域に乗り出す

 サンクトのアミノ酸事業は今後、医薬品原薬の領域にも大きく広がっていきそうだ。これまでは食品用途を主体にした事業展開を進めてきたが、今年以降、医薬品用途アミノ酸の事業化に乗り出す。新生源社など中国アミノ酸メーカーとの間で進めていた製造・品質管理の調整が整い、まずは一般用医薬品向けで販売を開始した。今後、よりハードルの高い医療用医薬品向けのアミノ酸原薬も提供していけるようにしたい考え。

 また、飼料用アミノ酸(飼料添加物)の取り扱いを本格化させる。飼料用アミノ酸の製造販売に強い中国メーカーと連携し、日本市場の開拓を進める。飼料用の取り扱いはこれまで品目、数量ともに限られていた。同社のアミノ酸事業は今後、食品、医薬品、飼料の大きく3領域に「分裂」され、事業全体の一層の成長、拡大が図られることになる。

 一方、サンクトは今、アミノ酸以外にも取り扱い品目を増やしている。中国の老舗生薬・漢方メーカーである青雲山薬業グループの日本総代理店として取り扱いを開始した健康食品向けの植物エキス各種をはじめ、ビタミン類などの販売も手がけるようになった。いずれもアミノ酸事業がきっかけとなって始まったもので、これもやはり「分裂」。

 GABAやBCAAなど、アミノ酸系機能性食品成分の取り扱いも増やしている。顧客からのニーズも多い機能性表示食品に対応するためで、「アミノ酸に関わることであれば何でもやる」という姿勢で事業を進めている。勢い、これまでのように原料販売だけでなく、今後は、アミノ酸を主体にしたサプリメントなど最終製品の企画・開発・OEMなども手がけていくことになるのだろう。次の20年、サンクトは、「総合アミノ酸メーカー商社」の看板にますます磨きをかけることになると思われる。

【石川太郎】

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