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紅麹問題の教訓、「サプリ法が必要」 唐木東大名誉教授、安全性の確保など念頭に

 きのう18日までの3日間、都内で開催されたヘルスケア関連の展示会「ウェルネスフードジャパン2024」の最終日に、機能性表示食品など健康食品の「安全性」をテーマにしたシンポジウムが催され、有識者ら3人が登壇、講演やパネルディスカッションを行った。小林製薬「紅麹サプリ」事件を受けて企画されたもので、講演した唐木英明・東京大学名誉教授(食の信頼向上を目指す会代表)は、そもそも「健康食品」の安全性を確保するための法制度のないことが大きな問題だと指摘。いわゆる「サプリメント法」を制定して総合的な対策を進める必要があると訴えた。

 日本の健康食品は行政上、「いわゆる『健康食品』」として一括りにされつつ、その下で、「保健機能食品」と「その他のいわゆる『健康食品』」の大きく2つに大別されている。そして保健機能食品は、届出制の「機能性表示食品」、自己認証制の「栄養機能食品」、個別許可制の「特定保健用食品」の3つの異なる制度に分類。このため、制度のない「その他のいわゆる『健康食品』」を含めると、日本には計4種類に上る健康食品が、大枠としては「食品」(医薬品以外の飲食物)に括られるかたちで乱立し、その4種類の全てにおいて、天然抽出物を配合しつつ錠剤やカプセル剤などといった医薬品に近い形状を持ついわゆる「サプリメント」が存在する構図となっている。

 唐木氏はこの日の講演で、「サプリメント」は、「食品」とは明確に切り分けるかたちで規制していく必要があると指摘。現在4種類ある健康食品を、「サプリメント」に一本化させて、「食品」においては「いわゆる『健康食品』」をなくしていくといった、法律に基づく新たな枠組みを構築することを提案した。

 日本の健康食品に関わる現行制度が「複雑すぎる」ため、「消費者の理解が困難」であることが理由。また、これまでに生じた健康食品をめぐる健康被害の大部分が「その他のいわゆる『健康食品』」によるものである一方で、それは「食品」である以上、食品衛生法を超えるような規制はできない。そのため、健康食品の安全性を確保するための法的拘束力を持つ規制が「追いついていない」とした。機能性表示食品などの保健機能食品にしても、食衛法や「表示法」を根拠に安全性を管理することには限界があると見る。

 「サプリメント」への一本化に当たっては、「改善すべきところは改善し、機能性表示(食品)を基本にしていけば良いと私は考えている」と語った。

 シンポジウムで講演したのは唐木氏のほか、健康食品業界団体、(一社)健康食品産業協議会の安全性分科会から田口智康分科会長。全体のファシリテーターは、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構の矢澤一良・規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門長が務めた。

 田口氏は、「紅麹サプリ」事件の概要を説明しつつ、事件を受けて今年9月1日にも実施されることになった機能性表示食品制度の見直しについて、原材料や最終製品の安全性評価・確保に関わる部分を解説。届出者の遵守事項などを新たに規定する食品表示基準(内閣府令)の委任を受けた告示に反映されることになる通称「311通知」(令和6年通知)についても触れ、協議会の製造・品質分科会が主体となって「原材料に関する安全性のチェックリスト」の作成を進めていることを伝えた。「311通知の内容を整理」したものだといい、原材料事業者、最終製品製造事業者の「双方にとって使いやすい」ものになると述べた。

(冒頭の写真:シンポジウムで講演する唐木氏)

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