第2回疾病リスク低減表示トクホ検討会(前)~「低ナトリウム食品」はなじまない
消費者庁は22日、第2回「疾病リスク低減表示トクホ検討会」を開催した。
論点は4つ。前回、一部積み残しとなった1.「米国、カナダ、EUで認められている疾病リスク低減表示を踏まえた検討」のほか、2.「許可文言の柔軟性」、3.「表示の内容等の基準が定められていない疾病リスク低減表示の申請」、4.「先行申請者の権利保護」の4つについて検討した。
前回も言及された論点1.については、「低ナトリウムの食事は高血圧になるリスクを減らします」などの食品中にある成分の摂取量を減らすことによる効果の発現がトクホ制度になじむかどうかという点に絞られた。
杉本委員は、「トクホについては、関与成分が作用することで効果が出ていくわけなので、摂取量を減らすことは制度に全く合っていないと考える」と、表示に無理があるとの見方を示した。
千葉委員は、ほかの食品との兼ね合いが重要とし、「ほんとうに血圧が低減できるほどにナトリウムの摂取が減るかというと、食事全体から考えると微々たるもの」とし、リスク低減を検証できるかどうかについて疑問を呈し、「なじまない」とした。神村委員も「消費者が表示をどうとらえるか。摂取量を減らすと捉えられるか」とし、なじまないとした。
佐々木座長は事務局(消費者庁)の考え方も踏まえた上で、「なじまない」と結論した。
論点2.「許可文言の柔軟性」については、冒頭、森田委員から、「食事摂取基準に出ている成分について、その意味を考える必要がある」、「15年ぶりの見直しなのだから、安全性の確保を踏まえて、トクホの捉え方を議論すべき」との問題提起が行われた。
諸岡委員からは骨粗しょう症について、「栄養摂取だけでなく、さまざまなファクターを考慮に入れるべき。疾病リスク低減表示トクホでは、栄養政策の整合性を図るという意味で、食事摂取基準にかんがみた上で、ていねいに議論すべき」と食事摂取基準を前提とした議論を求めた。
議論が広がりを見せ、やや論点からそれるなか、佐々木座長は、食事摂取基準の重要性を認めつつ、消費者から見れば、食事摂取基準の栄養成分もサプリメントも(ひとつながりに)続いているものとし、「食事摂取基準以外のものもしっかり議論する必要がある」とし、論点を引き戻した。
(つづく)
【田代 宏】