第10回「解約料の実態に関する研究会」 望ましいルールの在り方について議論を開始
消費者庁はきのう30日、第10回「解約料の実態に関する研究会」を開催した。会見の様子をライブ配信した。
これまで同研究会では、複数の事業者団体や国民生活センターからのヒアリングを行いながら、解約料の実態について事業者側、消費者側の双方から議論してきた。また、解約料に関する海外の法制度についてもヒアリングを行った。今回から、「解約料の実態を踏まえた望ましいルールの在り方」について議論する。
今回、研究会の委員である、高知大学人文社会科学部准教授の新井泰弘氏が、「望ましいキャンセル料について」と題してプレゼンした。新井氏は、「望ましいキャンセル料」とは、まず「誰にとって望ましい」のかを考える必要があるとし、「仮に消費者にとって一番望ましくても、それが生産者や販売する者、社会にとってベストかというとそれは難しい。標準的には社会にとってベストな方法を考えることになる」と話した。
また、キャンセル料とは通常、消費者がキャンセルしたことで発生した生産者・販売者の損害を補填するというもので、そのため、何をもって損害とするのかを考える必要があるとして、新井氏は、「それを『逸失利益』、『信頼利益』、『機会費用』として、キャンセル料を『キャンセルによって販売者が被った損害』の賠償だと考えると、その大小関係は『逸失利益』>『機会費用』>『信頼利益』となる。どの『損害』の捉え方にするのが『社会的に望ましいのか』かが次の問題」と話した。
また、キャンセルが発生する事前と発生した事後においても問題は異なり、それぞれについても考える必要がある。結論として新井氏は「望ましいキャンセル料の在り方とは、経済学のフレームワークからするとかなり問題が大きく、考慮しなくてはならない点が多い。キャンセルが発生する場面は、販売やサービスの提供などさまざまな状況が存在する。一律したルールの基に望ましいキャンセル料を決定することは難しく、それぞれに適したスモールステップで問題を区切っていく必要があると思われる」と話した。
次回の研究会は、10月23日(水)13時からの開催を予定している。
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