睡眠ケア=翌日の認知機能サポート 【機能性表示食品特集】ケミンが新製品「デイリーズー」
機能性表示食品のアイケア領域において一大勢力となったルテイン。その原材料市場をけん引する製品の1つ、「フローラグロー(FloraGLO)ルテイン」を製造販売する米ケミン社が新たなサプリメント向け原材料を開発、発売した。
「BETTER SLEEP FOR A BETTER DAY」のキャッチフレーズとともに提案されているもので、睡眠の質を高めることを背景に、翌日の認知機能を含む日常生活機能の向上を助けることをヘルスベネフィットとする植物由来の機能性素材。ケミン・ジャパン㈱(橋本正史社長)が昨年から日本市場への導入を進めている。
製品名は「DailyZz(デイリーズー)」。植物のスペアミントと緑茶の抽出物をブレンドした粉末状の原材料で、それぞれに含まれるポリフェノール類を標準化した。スペアミントに含まれるロスマリン酸と、緑茶のエピガロカテキンガレート(EGCG)を合わせて13.5~18%含有する。
スペアミント由来ロスマリン酸と聞いて、ケミン社が手がける別の素材を思い浮かべる業界関係者も少なくないだろう。
日本でも以前から販売されている「Neumentix(ニューメンティクス)」。ケミン社が開発したスペアミント抽出物で、機能性関与成分はスペアミント由来ロスマリン酸。かつ、訴求されている機能は認知機能(ワーキングメモリー)の維持。新製品のデイリーズーは、ニューメンティックスを機能性の面からも発展させたものとなっている。
現時点では機能性表示に非対応 「今後、検討を進めたい」
フローラグロールテインと異なり、デイリーズーは今のところ、機能性表示食品対応素材ではない。
ただ、無作為化二重盲検臨床試験で確認された、睡眠の質と翌日の日常機能の質をそれぞれ高めるというユニークで消費者ニーズが予想される機能性を、業界関係者が見過ごすことはなさそうだ。また、最近になって、睡眠不足など睡眠の質の低下によって認知機能も低下するリスクがあるとする学術報告が出てきたことも無視できない。ケミン・ジャパンとしても、「今後、(機能性表示食品対応素材化の)検討を進めていきたい」(橋本社長)と話している。
日中の脳機能、前夜の睡眠の影響受ける
同社によると、デイリーズーの機能性は、睡眠に対して時おりの愁訴がある健康な男女105人を対象に実施したプラセボ対照RCT(ランダム化比較試験)で検証された。
有効性の測定には、睡眠に関する複数の質問票と、コンピュータを使った認知試験による日中の機能に関する客観的な計測値を用いた。
試験の結果、1日当たり485mgのデイリーズーを毎日就寝前に30日間摂取した群は、プラセボ群と比べて睡眠の質を高める方向にサポートすることが確認された。翌日のパフォーマンスを示す、集中力・判断力・反応時間・実行機能といったパラメータも改善。そうしたことが、摂取7日目という早い段階から観察されたほか、被験者からは、「翌日のパフォーマンスが改善した」などといった声が上がったという。
この試験結果を踏まえて同社では、サプリメントとしてデイリーズーを継続的に摂取する意義をこう説明する。
「日中の脳機能は前夜の睡眠の質に影響される。睡眠不足による翌日のパフォーマンスの低下は、仕事の遂行や生産性に悪影響を及ぼす可能性がある。(上記の)臨床試験で報告されたように、睡眠の質の向上は、寝不足による影響を最も受けやすい認知領域に有益な効果をもたらす」。
デイリーズーは、海外でも2年前に発売されたばかり。ケミン・ジャパンでは今後、認知機能領域の臨床医をはじめとする有識者からの信用・信頼を熟成し、そうした有識者らのサポートも得ながら、デイリーズーをはじめニューメンティクスを日本市場に段階的に広げていきたい考えだ。「すでにアカデミアの中にも理解者が現われている。我われとしても非常に心強い」(橋本社長)としている。
【石川太郎】
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都千代田区五番町12番地
TEL:03-3239-2521
URL:https://www.kemin.com/ap/ja/home
事業内容:サプリメント原材料、飼料添加物の輸入・販売
2023年機能性表示食品特集関連記事
:エビデンスの質、その判断基準(前編)
:エビデンスの質、その判断基準(後編)
:インデナのケルセチン、次の機能性表示は?
:睡眠ケアのベネトロン、新領域へ 常磐植物化学研究所、ヒト試験を新たに
:抗疲労成分SAC普及、備前化成の本気度 デジタル広告などで消費者認知向上図る
:生んだ2素材、どれも制度対応 リコム、キノコ素材で腸内環境から体重減少まで
:γ-オリザノール含有こめ油の届出を支援 オリザ油化、柱事業の成長図る
:<オピニオン> 浮き彫りになった問題を整理すべき 関西福祉科学大学・竹田竜嗣准教授
:ユニアル 23年6月期、3期連続2ケタ増へ クマ笹由来乳酸菌でIgA抗体量増加確認
:ユニキスの原料展開、国内外で好調 「ルテマックス」を提案
:機能性表示食品制度を評価しますか? 118社に聞く 公平性・透明性を求める声多く
:始まった9年目の制度運用 届出6,000件超えて次の山は
:プラセボ対照試験の光と影 無処置対照試験は影を消せるか