健康食品業界団体の（一社）健康食品産業協議会（橋本正史会長）は15日、2009年の発足以来、初となる新年賀詞交歓会を明治記念館（東京都港区）で開き、業界関係者約200人が参加した。消費者庁や厚生労働省など行政関係者も来賓として出席。冒頭挨拶に立った橋本会長は、元日に発生した能登半島地震の犠牲者への哀悼、遺族や被災者に対するお見舞いを述べた上で、関係団体・機関とのさらなる協力関係を構築しつつ、ステークホルダーやアカデミアとの連携を深めながら、健康食品業界の健全な発展に尽力していきたい、と抱負を語った。

制度めぐる新たな委員会を立ち上げへ

　協議会として初の賀詞交歓会は関係団体の後援で開催。後援したのは、健康と食品懇話会、（一社）国際栄養食品協会、（一社）日本栄養評議会、（公財）日本健康・栄養食品協会、（特非）日本抗加齢協会、（一社）日本チェーンドラッグストア協会、（一財）バイオインダストリー協会、薬業健康食品研究会の8団体。橋本会長は挨拶の中で、これら団体のほか、（公社）日本通信販売協会、（一社）ウェルネスフード推進協会、（一財）医療経済研究・社会保険福祉協会、（一社）日本健康食品規格協会などとのさらなる協力関係を築いていきたいと述べた。

　橋本会長は挨拶で、機能性表示食品制度の現況について触れ、届出公表件数が取り下げを除いても7,000件を超える勢いであること、市場規模は6,000億円とも推計されていることを伝えつつ、昨年相次いだ景品表示法に基づく措置命令に言及。「私たち業界にとって、広告や科学的根拠のあり方に対して、改めて考えさせられることになった」と語り、それらを改善していく必要性を示した。また、協議会の今年の活動として、広報委員会に続く新たな委員会を立ち上げる計画があると明かした。新たに設置する委員会は、「制度」に関わるものだといい、「健康食品全体の底上げができるように」したいと語った。

消費者庁、厚労省などが来賓挨拶

　この日、来賓として祝辞を述べたのは、消費者庁の依田學審議官（食品担当）、厚生労働省食品基準審査課の近藤恵美子課長、機能性表示食品制度の創設に関わった元規制改革会議委員で大阪大学大学院医学研究科の森下竜一氏の3人。能登半島地震に伴う災害支援のため欠席した農林水産省の宮浦浩司総括審議官（新事業・食品産業）の祝辞は司会が代読し、「高齢化が進行している我が国において、健康寿命の延々は重要な課題の1つ。日ごろの生活で取り入れることができる健康食品は、国民の健康的な生活に大きく貢献するものと期待している。ぜひ今後も、消費者ニーズの変化に的確に対応した商品開発や提案などを行っていただき、健康食品産業の振興につなげていただきたい」とした。

消費者庁、安全性・有効性めぐり海外制度調査へ

　消費者庁の依田審議官は祝辞を述べつつ、食品行政をめぐる同庁の動向を紹介。4月1日からの食品衛生基準行政の移管や機能性表示食品制度を巡る昨年からの動きを伝えると共に、「特定保健用食品制度を含む保健機能食品を通じた健康食品の健全な発展に向けて、表示制度における安全性や有効性について諸外国の制度の実態調査を行っていきたい」と述べた。

　海外制度の調査は来年度実施する。また、今年の干支「甲辰」（きのえ・たつ）を引き合いに出しながら、「物事が成長発展しかたちをなす、将来の待望を叶えるための準備の年と言われている。健康食品産業のさらなる発展に向けて、われわれ行政制度はもとより、業界事業者の努力の成果が見られる年になることを期待している」とも語った。

厚労省、健康食品は「1つの明確な食品分野を構成」

　一方、厚労省の近藤課長は祝辞の中で、保健機能食品を含む健康食品について、「健康意識の高まりや食生活の多様化などから、性別を問わず高齢者を含む幅広い年齢層に普及している。1つの明確な食品の分野を構成するとともに、消費者ニーズを満たす分野として成長を実感している」と述べた。

　また、食品衛生基準行政が消費者庁に移管されることについて、「組織改正されるが、科学的データに基づき食品等の規格基準を策定するという基本的な枠組みに変わりはない」と強調した上で、「引き続き国民の健康の保護を第一に、リスクアナリシスの考えに基づき、関係府省と連携のもと、科学的知見に基づく食品等の規格基準の設定等を通じたリスク管理を進め、事業者、保健所、国民の皆様に不安がないよう取り組んでいきたい」とした。

【石川太郎】

（冒頭の写真：新年賀詞交歓会で挨拶する橋本会長。文中写真：来賓挨拶を行った消費者庁の依田審議官＝写真左、厚労省の近藤課長＝同中、森下氏＝同右。下の写真：賀詞交歓会を後援した各業界団体の代表者。日本チェーンドラッグストア協会は欠席）