特商法改正、定期購入トラブルへの対応 実効性のある制度見直しで一致
<広告に対する責任の所在の明確化も>
特定商取引法と預託法の改正を検討している消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」は29日、インターネット通販による健康食品や化粧品の定期購入トラブルの防止策を検討した。多数の委員が特商法の規制強化を求め、消費者庁に実効性のある制度見直しを求めることで一致した。会合はオンラインで行われた。
健康食品や化粧品のネット通販で、「お試し」と思わせて、実は定期購入が条件だったという消費者トラブルが、2019年度には4万4,370件に急増。深刻な状況となっていることから、消費者庁は「何らかの制度的な措置を講じるべき」との方向性を示した。
オブザーバー参加の(独)国民生活センターは、申し込みを行う前に、1画面で契約内容・条件を確認できる表示を要望。責任の所在を明確にするため、広告代理店に委託した場合も、販売事業者が責任を負うことを明確にするように求めた。販売業者に電話がつながらず解約できないという苦情に対しては、解約日を遡及する措置や、行政処分の対象とすることを提言した。
各委員からも、制度的な規制強化を求める意見が相次いだ。広告画面や申し込み確認画面の表示の明確化をはじめ、広告に対する責任の所在の明確化などを求めた。
特商法で定める「誇大広告等の禁止」の「契約条件の有利誤認」について、適格消費者団体が行う差止請求の対象への追加を求める声も聞かれた。また、通販の誇大広告によって誤認した場合、「不実告知取り消し規定」を設けるなど、民事規定の整備も必要とする意見が寄せられた。
一方、業界代表委員は、悪質な定期購入契約を行う販売業者は限られていると指摘。悪質業者への対応を問題にしてほしいと求めた。
河上正二委員長は議論を取りまとめ、「苦情・相談が急増しているインターネット通販の定期購入の悪質商法については、制度的な見直しを行って、より実効的な制度を早急に検討し、案を示してほしい」と消費者庁へ要請した。