特別用途食品の表示許可制度見直しへ JHNFA、事業者の負担軽減へ道開く
特別用途食品の表示許可制度が見直される。消費者庁は19日、特別用途食品の許可等に関する委員会(中村丁次委員長)を開催した。
(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)の要望に応じるかたちで、手続きの簡略化や表示許可のあり方など5項目に及ぶ同制度の運用改善に向けた検討を行い、委員の了承を得た。消費者庁は今後、制度の見直しに向けてパブリックコメントを実施し、次長通知改正へ向けた作業に入る。同委員会の審議はYouTubeを通じて公開された。
JHNFAの要望7項目を5項目に集約し改善
審議の対象としたのは、①製品の同等性の整理とシリーズ商品の一括申請、②個別評価型病者用食品における製品の同一性と手続きの整理、③品質管理等の定期的な報告の運用の整理、④申請書類における食品衛生事項に係る資料の簡略化、⑤義務表示事項以外の表示事項に係る変更届の整理――の5項目。JHNFAの要望7項目についてヒアリングを行い、5項目にまとめた。
① において「えん下困難者用食品」、「総合栄養食品」の製品群(シリーズ商品)の一括申請を可能とし、さらに「病者用組合せ食品」を含めた許可品と同等性が認められる商品の追加手続きを簡略化。人的・金銭的コストを軽減する。②では、個別評価型病者用食品で許可した製品と「関与成分及びその量」、「栄養成分及び熱量」、「食事療法上の有効性」、「使用方法」の変化を伴わない範囲の製品については同一性があるとみなし、許可に当たっては委員会の開催の要否を委員長が判断することとする。③では現在、毎年定期的に実施しなければならない外部委託試験を少なくとも3年に1度に減らし、その他の年は事業者が社内で行う試験結果でも可とする。④HACCPに沿った衛生管理が実施されている事業者については、食品衛生事項に関する確認資料(製造所所在地地図、製造所内生産設備の配置図、原料規格書)は、合理的理由があれば理由を付すことで省略が可能とする。⑤義務表示事項以外の「文字色」、「文字サイズ」、「背景色または図案の変更・任意の表示事項」、「キャッチコピー」などの追加や削除について届け出を不要とする。
特用の未利用が明らかに、普及推進へ
消費者庁は昨年7月、「医療施設等における病者向け食品の利用実態等に関する調査結果」を公表した。特別用途食品(特用)の普及を目的とし、加工食品の臨床現場における使用実態を調べたところ、特用以外の製品が多くの品目で利用されている実態が明らかになった。同結果とJHNFAからの要望を踏まえ、今回の特別用途食品制度の運用改善に踏み切った。
同庁は制度改正によって、「(特別用途食品の)許可品目の件数を増加させることで、消費者、食品関連事業者の双方への普及啓発を推進したい」としている。2023年度内にパブリックコメントを実施し、次長通知の改正を行う予定。
一方、JHNFAは今回の委員会の決定について、「(消費者庁に)要望は全て受け止めて頂いたと考えている。これから事業者にアピールし、協力を仰いで製品を増やしていきたい」と抱負を述べている。
【田代 宏】
(冒頭の写真:中村丁次委員長(中央))
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