消費者庁発、届き始めた事務連絡 【機能性表示食品めぐる景表法違反関連】根拠資料「確認したい事項がある」
機能性表示食品に関する確認事項について(照会)──今月3日以降、そう題された「事務連絡」が、機能性表示食品を届け出ている一部の事業者のもとに届き始めた。差出人の名義は、消費者庁食品表示企画課保健表示室長。「貴社から届け出られた機能性表示食品の機能性を示す資料について、確認したい事項」があるとし、2週間以内の回答を求めている。
この事務連絡の送付先は、約90社に上るとみられる。先月末、消費者庁が公表した、機能性表示食品の届出表示の科学的根拠をめぐる景品表示法違反(優良誤認)事案に絡むものだ。措置命令の対象となった機能性表示食品と同一の機能性関与成分、かつ科学的根拠も同じとする届出約90件に関し、届け出られた科学的根拠の合理性を個別に確認する考えを同庁は明らかにしていた。
措置命令の対象となった機能性表示食品に配合されていた機能性関与成分と届出表示(ヘルスクレーム)は、DHA・EPAによる中性脂肪の低下、モノグルコシルヘスペリジンのよる血圧の低下、オリーブ由来ヒドロキシチロソールによる血中LDLコレステロールの酸化抑制の3関与成分3機能。いずれも科学的根拠は、関与成分の研究レビュー(SR)だった。
このうち、オリーブ由来ヒドロキシチロソールについて同庁は、SRに採用された3報の臨床試験論文のうち、特定の論文に疑義を抱いたとみられる。有意差検定の仕方を問題にした模様。ただ、当該の論文は、比較的名の知られた海外の査読付き学術誌に掲載されたものである。
消費者庁が3日開始した個別確認に関わる事務連絡を見ると、同庁は、当該の論文が、複数の時点で酸化LDLコレステロールの有意な低下が認められたと報告している点を疑問視していることがうかがわれる。ベースラインについて、「プラセボ群よりも被験食摂取群の方が低いことが(有意差に)影響している可能性がある」と指摘。その上で、SRに求められるトータリティ・オブ・エビデンスの「判断が適切になされているといえるか」などと問い、回答を求めている。
当該の論文は、1日当たり摂取目安量を決定する科学的根拠にもなっている。
【石川太郎】
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