消費者委、GMP基準「より厳しく」 機能性表示食品、制度見直しめぐり厳しい視線
機能性表示食品制度を見直す政府方針の具現化をめぐり、消費者委員会(鹿野菜穂子委員長=慶應義塾大学大学院法務研究科教授)が厳しい意見を示している。
3日開催した本会議。有識者検討会報告書や政府方針に関する説明を消費者庁から受けた。
報告書も受けて取りまとめられた政府方針全体への受け止めは、「従来の制度を前進させる」などと肯定的。ただ、サプリメント形状に関して届出要件とするGMP(適正製造規範)に基づく製造・品質管理は、現行よりも厳しい基準にすべきだと意見した。「医薬品GMPと比べて緩い」などと考えているのが理由だ。
また、健康被害疑い情報の報告義務について、届出者だけでなく、医師から保健所などへの情報提供も検討するよう意見した。さらに、「サプリメント」に対する規制のあり方も具体的に検討していくよう求めた。
食品衛生基準改正、調査審議は本会議でも
サプリメント形状の食のGMP基準は、厚生労働省が今年3月に発出、4月以降は消費者庁が所管する「錠剤、カプセル剤等通知」(旧平成17年通知)に示されている。機能性表示食品の届出者が遵守すべきGMPの具体的な内容は、同通知などを参考に法令で規定される見通し。消費者委は、同通知よりも厳しい基準を設ける必要があると指摘した格好だ。
消費者委は、政府の諮問を受けて今後審議入りする見通しの食品表示基準の改正について、本会議でも対応にあたる考え。通常は、下部組織の食品表示部会で審議を行う。しかし今回は、「関係法令との関係を含めて全体的な調査審議を行う必要のある重要な案件」(鹿野委員長)。同部会のほかに本会議でも直接の調査審議を行う方針だ。
食品表示基準は、食品表示法に基づく内閣府令。機能性表示食品は、同基準によって法的に定義づけられている。制度を所管する消費者庁は、制度見直しの実行に向けて可及的速やかに、食品表示基準を改正する考え。消費者委への諮問のほか、パブリックコメントも行った上で改正した基準を施行する。
【石川 太郎】
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