海水による有用藻類の屋外開放培養に成功
情報・システム研究機構国立遺伝学研究所はこのほど、高温・強酸性の環境下で増殖する淡水産藻類の単細胞紅藻「イデユコゴメ類(シゾン)」について、天然海水を用いた屋外開放培養に成功したと発表した。
酸性を好むイデユコゴメ類は、海水と同程度の塩化ナトリウム存在下では増殖できないことが知られていた。研究では、シゾンを海水の半分程度の塩化ナトリウムを含む培地でしばらく培養し、塩耐性を獲得させた後、海水培地で培養して塩耐性を強化させた。これにより、海水の2倍相当の塩化ナトリウム存在下でも増殖を可能にした。
さらに、この方法を用いて、天然海水に無機肥料を加え、酸性化させた「天然海水培地」で、シゾンを含むイデユコゴメ類を培養することにも成功したという。
イデユコゴメ類はほかの微細藻類と比べて、高密度まで増殖し、タンパク質と各種ビタミンの含有量が多い。安価で安定的な培養が可能となれば、食品や飼料への利用が広がるとしている。