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機能性表示食品めぐり初の改善指示 食品表示法の規定に違反、実際の機能性関与成分含量が届出量に満たず

 機能性表示食品では初となる、食品表示法に基づく改善指示の行政措置が今月、静岡県内の企業に対して行われていたことが分かった。機能性関与成分の含有量が、消費者庁へ届け出ていたり、容器包装に表示したりした量を下回っていたという。改善指示を行った行政機関は、調査の端緒を明かしていない。ただ、消費者庁は、毎年度、販売されている機能性表示食品の買上調査を行い、実際の機能性関与成分含量と届出の整合を調べている。

地方行政機関が執行

 機能性表示食品を届け出ていた企業に対して食品表示法の規定に基づく改善指示を今月10日付で執行し、社名などを公表したのは静岡県だった。改善指示は、「処分」ではなく「指導」にとどまる行政措置だが、同法には社名等を公表する規定がある。

 掛川市などを管轄する静岡県西部保健所と、食品表示法を所管する消費者庁が調査し、県保健所が改善指示を執行した。食品表示法上の措置権限は、内閣総理大臣から消費者庁長官、長官から都道府県知事等に委任されており、都道府県等も同法に基づく指示や命令の措置を行う権限を持つ。

 「機能性表示食品では初めて」。県が今回執行した食品表示法の規定に基づく改善指示について消費者庁食品表示課食品表示対策室は解説する。

違反商品、ティーバッグ形状の加工食品

 食品表示法の規定違反を認定された機能性表示食品は、GABAを機能性関与成分とする商品だった。

 静岡県の発表によると、改善指示を受けたのは、荒茶、仕上げ茶の加工・販売などを行う㈱静岡茶通信直販センター(静岡県掛川市、堀内知久社長)。

 同社が2021年1月に消費者庁へ届出を行い、同年6月から通販で販売を始めた『GABAin緑茶』を商品名とするティーバッグ形状の加工食品について、GABAの含有量が届出の量を満たないまま、少なくとも昨年4月下旬から今年6月中旬まで販売していたという。

 この商品は、1日あたり12.3mgのGABAを摂取できる機能性表示食品として届け出られていた。商品に含まれていたGABAは、原材料である静岡県産のお茶に含まれる同成分の他に、それとは別に配合した外部企業製のGABAで、量としては後者の方が多かったとされる。届出表示は「血圧が高めの方に適した機能があることが報告されています」。県によると、違反認定期間(昨年4月下旬~今年6月中旬)に4,709袋(1袋45g入り=3g×15個)が一般消費者に販売された。

 県らの調査を受け、同社は6月13日以降に商品の販売を中止。その後、8月9日付で届出を取り下げた。県によれば、同社は現在までに、商品を購入した全ての消費者に対して、「機能性関与成分量が表示値未満であった事実」の情報提供も終えている。

「抽出後」の成分含量、表示値に満たず

 「表示値未満」だったというが、満たなかった程度によっては違反認定の是非も問われる。表示値に対してどれほど少なかったのか。

 「そこは公表していない。全く入っていなかったということではない」。県健康福祉部生活衛生局衛生課は話す。その上でこう言う。「届出含有量に満たなかったのは抽出後」

 「抽出後」とはどういうことか。県によると、販売されていた商品自体、つまりティーバッグ自体には、届出含有量および表示値どおり12.3mgのGABAが含まれていた。しかし、お湯にティーバッグを入れて中身を抽出した後の含有量が12.3mgに満たなかったという。

 要するに、ティーバッグに含まれる機能性関与成分の量に問題はなかった。一方で、商品を購入した消費者が実際に飲用する抽出後の量は、届出や表示の値に満たなかった。

 また、商品容器包装上の栄養成分表示の直下に「機能性関与成分:GABA12.3mg(抽出後)」と表示されていた。さらに、販売期間も短くなかった。

 そういった事実を受け、県保健所は、この機能表示食品と、それを販売した同社を食品表示法に基づく食品表示基準(内閣府令)の規定(内容物を誤認させるような文字、絵、写真、その他の表示の禁止)に違反すると認定。販売している全ての食品の表示の点検・是正、原因の究明・分析の徹底、報告書の提出──などを同社へ指示した。

届出前の成分含量分析では問題なく

 「今のところ原因についてはっきりとしたことは分かっていない。ティーバッグには、ディーバッグで一般的な不織布を使っていた」。同社専務は取材に話した。届出前の分析では、抽出後のGABA含量が12.3mgを下回ることはなかったという。

 同社は、違反認定された商品の他にも複数の機能性表示食品を届け出ていたが、今月4日までにすべて取り下げた。他の商品も、全てが違反認定商品類似のティーバッグ形状の加工食品だった。そのうち1商品について、同社が自主的に分析を行ったところ、違反認定商品と同様に、抽出後の機能性関与成分含量が表示値を下回っていた。結果、全ての届出を自主的に撤回することになった。

 「原因がはっきりとしないと対策もできない。だから取り下げた。今後後また届出を行おうとは今のところ考えていない」(同)。

 機能性表示食品をめぐり初めて認定された食品表示法規定違反。抽出後の機能性関与成分含量分析を販売開始後も定期的に行っていれば、避けることのできた違反と撤回だったかもしれない。

【石川太郎】

(冒頭の写真:違反認定された機能性表示食品のパッケージ。消費者庁の届出データベースから一部加工)

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