日本食糧新聞社刊『健康食品入門』
日本食糧新聞社(東京都中央区)はこのほど、食品知識ミニブックシリーズとして『健康食品入門』(税込1,320円)を刊行した。全10章から成る健康食品の入門書。
著者は東京大学名誉教授で、食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏。新書で2段組の同書。タイトルはシンプルだが、その中身はきわめて濃い。
本章は、健康食品がなぜ「いわゆる健康食品」と呼ばれているのか、行政官僚の言葉遊びに翻弄されてきた健康食品の宿命から説き起こされる。健康を願う国民の願いと規制の手綱を操る政府、健康食品としての市民権を得ようとする事業者の立ち回りの歴史を分かりやすく描き出している。
著者は獣医師、薬理学者という自らの体験を通して、健康食品の成り立ちから今日までを振り返りながら、今なお独自の法律も定義も持ち合わせていない「いわゆる健康食品」のあるべき将来の姿に思いを馳せる。
現在、健康食品市場を席巻しているのは、制度施行から9年目を迎えた機能性表示食品だが、同制度の準備にも関わり、現在も同制度の適正な運用を見守り続ける著者は、研究者と実務者の両方の目をもって制度が抱える長所とともに、その欠点にも鋭いまなざしを向けている。
第4章では、無処置対照試験という今日的な課題を提示しており、何より、問題提起の理由が分かりやすく述べられている。
10章から構成される同書は、どこから読み始めても面白く、ためになる。ただ、初心者の方は、第7章の歴史から読み始めると、全章のつながりがより分かりやすくなるかもしれない。
初心者からスペシャリストまで、健康食品を知る上でも、健康食品の未来を読み解く上でも、欠かすことのできない一書である。
【目次】
第1章 はじめに
第2章 健康食品の種類
第3章 機能性表示食品
第4章 健康食品の効果判定
第5章 健康食品の心因作用
第6章 健康食品の安全性
第7章 健康食品の歴史
第8章 医薬品と健康食品
第9章 健康食品の将来
第10章 おわりに
【体 裁】
編集・発行:㈱日本食糧新聞社
頁数:205ページ
判型:新書判
価格: 1,200円+税
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