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新井消費者庁長官「上告しない」 佐野氏は判決を不服として上告する意向

 11月9日に判決の言い渡しが行われた「行政文書不開示処分取消等請求控訴事件」の判決をめぐり、消費者庁の新井ゆたか長官は11月30日の記者会見で「上告はしない」と表明した。一方、食の安全・監視市民委員会の共同代表・佐野真理子氏は判決を不服として上告する意向を示している。

 東京高裁判決で、消費者庁が「検体の特定に関する情報」、「検体の入手手法」、「入手ルート」、「検体数」などの部分開示を新たに命じられたとするのは既報のとおりだが、新井長官は、「考察内容等の情報については第1審判決と同様に不開示相当と判断され、当庁による一部不開示決定の大部分が支持された」とする一方、「判決の趣旨を真摯に受け止め、関係行政機関とも協議の上、上告しないこととした」と述べている。

 同問題は、2018年2月27日に佐野真理子氏が消費者庁に対し、「機能性表示食品に係る機能性関与成分に関する検証事業報告書」の不開示処分の取り消しを求めて起こした裁判。22年10月4日に一部開示の判決を勝ち取ったものの、同氏は判決を不服として控訴していた。

 検証事業では、機能性表示食品146件、機能性関与成分延べ164成分について、①記載された分析法により、機能性関与成分として届出された成分を定性的に同定可能か。特異性があるか(定性確認)、②記載された分析法により、機能性関与成分として届出された成分を定量可能か(定量確認)について検証した結果、①では、27件が「機能性関与成分に特異性がない分析法」とされ、②では47件が「届出された情報が不十分で、第三者が自分で論文/文献等を調べて分析する必要があるもの」との結果が示された。すなわち、検出した成分が有効成分ではない可能性が高かったということである。結果を踏まえて同庁は、変更届の提出や追加資料・追加分析の実施を求めるなどの対策を取った。

 検証報告書では、届出商品の名称や機能性関与成分は明らかにされたが、どの商品のどの機能性関与成分が①および②に該当するか、明らかにされなかった。東京地裁は1審判決で、定性および定量について○×式で記載されている分析方法の開示を求めた。開示された報告書では、大手通販、大手食品・製薬メーカーらが扱う17製品において、その両方に×印が付いていた。

 また消費者庁は上記17製品を買い上げた上で、機能性関与成分の表示値の妥当性を評価したが、1審判決ではその製品名や届出番号の開示も命じられた。ただし、分析試料や購入個数・価格・発売元は非開示とされていたところ、控訴審の判決において開示が命じられた。

【田代 宏】

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