新たな展開を見せるスーパーフード
<ブームから脱皮>
メディアで取り上げられ、消費者の認知度が上がり、ブームになる。このサイクルを重ねて市場を拡大してきたスーパーフードの各素材は、それぞれの道を歩み始めた。一方、勢いに乗る穀物系スーパーフードが存在感を強めている。
スーパーフードの現状について、業界関係者の見方は分かれる。穀物系スーパーフードを取り扱う(株)種商は、「スーパーフードの認知は定着してきた」と分析する。別の企業では、「市場全体を見ると、スーパーフードの概念が広がり、それに伴って対象市場が広がった。当初のブーム時の概念(狭い意味でのスーパーフード)だと、市場はやや縮小し、安定化した。ファンが残って、ブームで終わらなかった」と見ている。
個別の素材の動向を見ると、おにぎりなどの主食用やシリアル、麺類といった加工食品にも用途が広がり、勢いが止まらないのが「もち麦」。全国精麦工業協同組合連合会によると、国内の大麦生産数量は、国産と海外輸入品を合わせて18年度4~10月が2万4,281tで、前年比115.5%に拡大した。最近の傾向について、大麦連の担当者は「もち麦の作付面積は伸びているが、大麦全体では減少傾向にある」と話す。商社の岡常商事(株)の担当者によると、「国産もち麦の作付面積がすごく増えている。これまで西日本が主流だったが、最近は長野など関東でも栽培している」という。
<海藻は漁業法改正で生産量増大か?>
海のスーパーフードと言われるアカモクも、転換期を迎えている。岩手アカモク生産協同組合によると、アカモクの原料供給が相変わらずひっ迫しているという。「日本全国で天然アカモクが水揚げされて、国内流通量が増えたが、需要に追い付かない状況にある。今年は100tを水揚げしたが全然足りない」と話している。
現在の供給は天然に限られているため、生産増の決め手は養殖となる。昨年の臨時国会で「漁業法等の一部を改正する等の法律案」が成立したことを受けて、同協同組合では「今後アカモクの養殖に着手し、生産量を拡大できる」と期待を寄せる。
農林水産省によると、16年度の海藻類の1人当たり1日の消費量は2.5g。ピークだった1994年度の約40%。カネリョウ海藻(株)では、「日本特有の海藻を食べるという食文化が滅びかねない。それに歯止めをかけるためにも、海藻業界が一致団結して、海藻の良さを伝えていく必要がある」とし、働きかけていく考えだ。
【越中 矢住子】
※詳細は「Wellness Monthly Report No.7」(1月末発刊)に掲載。