措置命令の余波、「88件問題」決着 最後まで残った三生医薬、2件とも撤回申し出る
消費者庁は12日、機能性表示食品の科学的根拠に踏み込む措置命令(6月30日)に端を発した、関連届出88件への食品表示法に基づく対応結果に関する情報を更新した。同日までに、全件について撤回が申出されたという。最後まで残っていた2件について、健康食品受託製造大手の㈱三生医薬(静岡県富士市)が撤回を申し出た。
同庁は措置命令直後の7月3日、措置命令対象製品の届出内容と同一の科学的根拠を届け出ていた機能性表示食品88件について、科学的根拠に疑義ある旨を指摘するとともに、疑義に対する合理的な回答を2週間以内に提出するよう求める事務連絡を届出者に出し、実質的に撤回の判断を迫った。その結果として撤回を申し出たかどうかなどの届出者の動向について、一般消費者に「情報提供」。撤回を申し出ていない先のほか、撤回申出中の社名や商品名などの一覧を作り、同庁ホームページ上で公開してきた。
88件の届出者の多くは当初、科学的根拠がある旨などを主張。7月27日時点で撤回申出件数は15件にとどまった。しかし、翌月16日までにその数が80件に急増。翌月5日の時点で撤回を申し出ていない届出は2件を残すのみとなっていた。
同庁の景品表示部局が科学的根拠に不備があると判定し、広告表示のほかに届出表示が景表法違反(優良誤認)に当たるとして措置命令を行っている以上、同庁から見れば当該88件は違反状態にある。事態を収拾するために、納得できないながらも撤回の申出を選択した届出者が多かったとみられる。
その中で、最後まで撤回を申し出なかったのが三生医薬。同社は8月末、ウェルネスニュースグループの取材に対し、「科学的根拠に問題がないと主張したい意図があるわけではない」としつつ、届け出た科学的根拠のどこに不備があったのかを「具体的に理解したい」ことが撤回を申し出ていない理由だと答えた。同庁から何らかの回答を得て、撤回申出に至ったとみられる。
【石川太郎】
(文中の画像:88件に対する食品表示法に基づく確認結果概要を伝える表。消費者庁ホームページ画面をキャプチャ)