島津製作所ら、ビタミンD不足を指摘 東京慈恵医大と共同研究、調査対象の「98%が不足」
日本人はビタミンDが不足しているという。東京都内で健康診断を受けた約5,500人を対象に血中ビタミンD濃度を調べたところ、98%が「不足」に該当したという。東京慈恵会医科大学と㈱島津製作所の研究チームが調査し、8日までに発表した。
同社らの発表によると、調査は、2019年4月から翌年3月までの1年間に東京都内で健康診断を受けた5,518人を対象に実施。同社製の最新型全自動化液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)システムを使用して血清中25-ヒドロキシビタミンD(=25(OH)D)の基準濃度を測定したところ、調査対象の98%が、日本代謝内分泌学会・日本整形外科学会が定めた「ビタミンD非充足状態」の判定基準、30ng/mL未満に該当したという。
測定結果を男女別に見ると、女性は7~30 ng/mL、男性は5~27 ng/mL。全体としては6~29 ng/mLだった。また、検出されたビタミンDの由来を見ると、ほとんどが動物あるいは日光に由来していて、植物由来はほぼ検出されなかった。さらに、年齢が低いほどビタミン不足の割合が高まったという。
研究結果をまとめた論文は今年4月下旬、米国栄養学会が発行する学術誌『The Journal of Nutrition』に掲載された。
今回の研究結果について研究チームでは、「今後の超高齢化社会へ向け、骨粗しょう症・骨折の予防につながるビタミンDの摂取はますます重要になる。ビタミンDが不足している現状への早急な介入と共に、 不足を引き起こす原因についても解析が必要だ」とするコメントを出した。
栄養素であるビタミンDは、栄養機能食品として国が規格基準を定めている。現在の1日当たり摂取目安量は1.65μg(下限)~5.0μg(上限)、定められた機能表示は「腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける」旨にとどまる。
【石川太郎】
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