小粒でも“ピリリ”なOEM企業 【九州のヘルスケア産業】SBS、独自素材の普及に注力
福岡市中央区天神1丁目1番1号に拠点を置くサプリメント・健康食品OEM企業がある。「Small But Spicy(山椒は小粒でもピリリと辛い)」を社名の由来とする㈱SBS(渡邉智成社長)。取り扱う原材料は常時600種を超えるといい、「商社並みの調達力が強み」。生産拠点は持たないが、「企画内容や生産量、予算に合わせて全国の提携工場から選べることが逆に強みになっている」という。そんな同社が今、最も力を入れていることとは。
アサイーに続きサフラン、成長の原動力になるか
SBSは2006年創業。商品開発力・原材料調達力・研究開発力といった「3つの強み」を売りにする。昨秋、コーポレートサイトを刷新。企業ポリシーや事業姿勢を全面的に打ち出すようになった。昨年からは新卒採用を始めるなどして業容を拡大させている。
研究開発専任スタッフも在籍している。エビデンス(科学的な根拠)が求められる昨今だから、地元の大学や有識者などとの共同研究開発体制も整備した。
振り返ると、事業が成長していくきっかけとなったのはスーパーフルーツのアサイーだったという。「アサイーをサプリメントとして日本に初めて導入したのが私たちでした」
SBSが日本に初めて導入したものは他にもある。それは、アサイーがもたらした成長を底上げしていく原動力になるかも知れない。国内外からの原材料調達力を売りにする同社が見染め、約8年前から提案を進めていた機能性素材の採用が今、じわりと広がり始めている。
スペインの植物抽出物メーカー、PHARMACTIVE社が製造するサフランエキス「アフロン」。製造元と独占販売契約を締結しているSBSの独自素材。昨年の「NutraIngredients Europe Awards」のHealthy Aging部門におけるIngredient of the Year大賞を受賞してもいる。
機能性表示に対応、地元の研究機関とも連携
睡眠やストレスをケアする機能性表示食品の市場にアフロンを普及させる。SBSが今、最も力を入れているのがそれだ。もともと2019年に同社として初の届出を行い、以降、届出件数を少しずつ積み上げていたが、ここにきて市場参入した通販大手が採用し届出を行い、販売も開始した。新型コロナ禍で高まった、睡眠・ストレスをケアしたい生活者ニーズと大手の採用を追い風にして今年、「クライアントに伴走しながら」の製品開発や届出サポートに力を注ぐ。
機能性関与成分は、サフラン由来クロシンおよびサフラナール。「睡眠の質が低いと感じている方の睡眠の質(活動時の眠気)を改善し、物事をやり遂げるのに必要な意欲を維持させる機能があることが報告されています」や「一時的な不安感、気分の落ち込み、困惑感を軽減させ、一時的な活気・活力の低下を軽減させる機能」がある旨のヘルスクレームを行えるようにした。
一時的なストレスや疲労感を軽減する旨も訴求できる。製造元が保有していたエビデンスもあったが、日本人を対象にしたヒト対象研究を国内で実施。研究開発で連携している大学や専門家の協力も得て、科学的根拠を強化した。
「サフランのマーケットがようやく広がってきた実感があります」。SBSの担当者はそう話している。
【石川太郎】
(冒頭の画像:SBSのコーポレートアイデンティティ。同社ホームページから)
『ウェルネスマンスリーレポート』2023年7月10日号(第61号)より転載
<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市中央区天神1-1-1(本社)
TEL:092-725-7111
URL: https://www.sbs-company.co.jp/
事業内容:健康食品の受託企画・製造、機能性素材の開発・販売・輸入
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